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断熱材の種類11選!素材ごとの特徴や選ぶ際のポイントを徹底比較
更新日:2023.01.27
高品質な注文住宅を建てるためには、高品質な断熱材を使用する必要があります。
断熱材によって住宅の気密性や断熱性が変わるため、快適な住環境を維持できるかどうかは断熱材の性能によって決まるといっても過言ではありません。
そこで、この記事では代表的な11種類の断熱材について素材と特徴を解説します。
【この記事でわかること】
● 断熱材の特徴
● 断熱材の選び方
目次
そもそも断熱材を比較する基準は?
断熱材を比較検討するためには、断熱材の評価基準を知っておく必要があります。
断熱材は「熱抵抗値」「厚み」「熱伝導率」の3基準によって性能評価されることが多く、各項目の特徴は押さえておきましょう。
この章では、断熱材を評価する3つの基準について解説します。
- 熱抵抗値
- 断熱材の厚み
- 熱伝導率
順番に見ていきましょう。
熱抵抗値
熱抵抗値とは「熱の通りにくさ」を値にした基準で、厚さ÷熱伝導率で計算されます。
後述する「厚み」と「熱伝導率」が大きく関係する値です。
熱抵抗値の値が大きいほど熱を通しにくい素材となり、断熱性能が高くなります。
断熱材の厚み
断熱材を厚くすれば、より熱は通りにくくなるため、何ミリで施工するのかは非常に重要です。断熱材を厚くすると壁も同様に厚くなり、圧迫感を感じやすくなります。
また、使用する材料が増加するため費用も高くなります。そのため、なるべく薄く安価で断熱効果を保持できる断熱材選びが重要です。
熱伝導率
熱伝導率は、熱の伝わりにくさを値とする基準です。
数値が小さいほど熱が伝わりにくく、断熱効果が高くなります。
断熱材11種類の比較一覧表
代表的な断熱材11種類の特徴を比較した場合、平均データは以下の通りです。
素材ごとの詳細は次章より解説するので、まずは概要を把握しましょう。
素材 | 名称 | メリット | デメリット | 熱抵抗値 | 厚み | 熱伝導率 | 工法 | 価格 |
繊維系 | グラスウール | ・耐火性が高い
・防虫性が高い |
湿度に弱い | 1.00 | 50 | 0.05 | 充填 | 安価 |
繊維系 | ロックウール | ・耐火性が高い
・防虫性が高い |
湿度に弱い | 1.31 | 50 | 0.038 | 充填 | 安価 |
繊維系 | セルロースファイバー | ・調湿効果が高い
・防虫性が高い |
重い | 2.50 | 100 | 0.04 | 充填 | 高価 |
繊維系 | インシュレーションボード | ・調湿効果が高い
・吸音性が高い |
防虫性が低い | 1.5 (※1) |
50 | 0.04 | 充填 | 高価 |
発泡プラスチック系 | ポリエチレンフォーム | ・耐水性が高い
・耐久性が高い |
耐熱性が低い | 0.59 | 25 | 0.042 | 充填 | 高価 |
発泡プラスチック系 | ビーズ法ポリスチレンフォーム | ・耐水性が高い
・耐久性が高い ・軽い |
耐熱性が低い | 0.23 | 10 | 0.043 | 外張り | 高価 |
発泡プラスチック系 | 押出法ポリスチレンフォーム | ・耐水性が高い
・軽い |
耐久性が低い | 0.5 | 20 | 0.04 | 外張り | 安価 |
発泡プラスチック系 | 硬質ウレタンフォーム | ・耐熱性が高い
・耐久性が高い |
防虫性が低い | 0.29 | 7 | 0.024 | 外張り | 高価 |
発泡プラスチック系 | フェノールフォーム | ・耐熱性が高い
・耐久性が高い |
防虫性が低い | 0.58 | 15 | 0.026 | 外張り | 高価 |
天然素材系 | 羊毛 | ・調湿効果が高い
・吸音性が高い |
入手困難 | 2.3 | 105 | 0.045 | 充填 | 高価 |
天然素材系 | 炭化コルク | ・調湿効果が高い
・防虫性が高い ・吸音性が高い |
入手困難 | 1.5
(※2) |
50 | 0.5
(※3) |
充填 | 高価 |
※1〜3:参考値
※参考:(参考)断熱材の厚さの早見表
※参考:羊毛断熱材サーモウール
繊維系における断熱材の種類4選
この章では、繊維系の断熱材が持つ特徴について解説します。
- グラスウール
- ロックウール
- セルロースファイバー
- インシュレーションボード
繊維系の断熱材は、高い使用頻度と汎用性を持ちます。したがって、注文住宅での断熱材選びでは優先して検討しましょう。
グラスウール
グラスウールは、リサイクルガラスを繊維状に加工した断熱材です。
熱に強く、高い耐火性がある点が特徴です。ガラス素材のため虫食いが発生しない強みもあり、家の断熱材として幅広く使用されています。
ロックウール
グラスウールは、リサイクルガラスを加工した断熱材であるのに対し、ロックウールは岩石やスラグを加工し製造されている断熱材です。
特徴もグラスウールとよく似ていますが、グラスウールより軽量です。天井や壁に使用すれば家全体の重量を下げられるため、耐震性を向上させる際にはおすすめです。
セルロースファイバー
セルロースファイバーは、紙やおがくず等が原材料となっており、調湿効果が高い断熱材として有名です。
調湿効果が高く、湿度が高い日は湿気を吸収し、低い日には放出してくれます。セルロースファイバーを使用すると、加湿器や除湿器を使わず、快適な住環境を維持できる可能性があります。
しかし、ほかの繊維系断熱材よりも高価である点はデメリットです。セルロースファイバーや後述するインシュレーションボードを検討する際は、費用面を考慮する必要があります。
インシュレーションボード
インシュレーションボードは、木材を粉砕しボード上に加工した断熱材です。セルロースファイバーと同様に調湿効果があり、吸音性も高い特徴があります。
ただし、木材を使用しながら防虫効果のあるホウ酸を含んでいないケースがあり、防虫効果が低いというデメリットに注意しましょう。
発泡プラスチック系における断熱材の種類5選
発泡プラスチック系断熱材は、一般的な発泡スチロールのような見た目をしており、加工しやすく軽いという特徴があります。
- ポリエチレンフォーム
- ビーズ法ポリエチレンフォーム
- 押出法ポリエチレンフォーム
- 硬質ウレタンフォーム
- フェノールフォーム
代表的な発泡プラスチック系断熱材は、主に上記5種類です。
ポリエチレンフォーム
ポリエチレンフォームとはポリエチレンと呼ばれる樹脂を加工、成形した断熱材です。
非常に軽量でありながら、耐久性と耐水性に優れ、住宅用断熱材によく使用されています。
加工がしやすく強いという特徴がある一方、火に弱いデメリットもあります。
断熱材として使用するのであれば、耐火対策が必要でしょう。
ビーズ法ポリエチレンフォーム
ビーズ法ポリエチレンフォームは、難燃剤とポリエチレンを混合させ成形されるため、ポリエチレンフォームより耐火性能が高いといわれています。
一般的な発泡スチロールと同じ成形方法で作られており、加工しやすく、安価で軽量という特徴があります。
ただし、ポリエチレンフォームより耐火性能が高いとはいえ、ポリエチレン自体の火に弱い性質を克服できていないため注意が必要です。
押出法ポリエチレンフォーム
押出法ポリエチレンフォームは、ポリエチレンを押出式の射出成形機によって加工・成形される断熱材です。
大量生産が可能なため安く作れ、ビーズ法ポリエチレンフォームと同様、ローコスト住宅で幅広く使用されている断熱材です。
安価な一方、ほかの発泡プラスチック系断熱材と比べて耐久性に劣るため、使用には注意が必要になります。
硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームは、現場で住宅の壁に直接小さな気泡を吹き付けるタイプの断熱材です。
気泡の中にはガスが封入されており、耐久性と耐火性に優れています。
発泡プラスチック系断熱材の中でも高価な部類に入りますが、高性能であるため導入できるのであればおすすめの断熱材です。
フェノールフォーム
硬質ウレタンフォームと同様、耐久性と耐火性が高いフェノールフォームは、発泡剤と硬化剤を混合させた成形断熱材です。
フェノールフォームも価格が高く、全ての壁面に導入するとなると十分な検討を要しますが、快適で安心できる住環境を実現するには適した断熱材だといえます。
天然素材系における断熱材の種類2選
断熱材には繊維系、発泡プラスチック系以外にも、「羊毛」と「炭化コルク」に代表される天然素材系と呼ばれる種類があります。
- 羊毛
- 炭化コルク
上記2種類を、順番に見ていきましょう。
羊毛
羊毛はダウンジャケットで使用されるほど保温性と調湿性能が高く、断熱材としても優秀な素材です。
ただし、断熱材として使用される場面を考えると、自然由来の家を造る住宅に限定されるケースが多く、維持管理に工数もかかります。
また、流通量が非常に少ないため価格が高く、納期も長くなってしまいがちです。したがって、導入する際には予算と着工スケジュールに影響がないか確認しましょう。
炭化コルク
炭化コルクは、ワインの封入でも使用されるコルクを炭化させた断熱材です。
羊毛よりは管理しやすいものの、流通量が少ないため、ほかの断熱材より高価になります。したがって、羊毛と同じく導入するだけのメリットがあるのかを十分に検討しましょう。
断熱材の種類を選ぶ際のポイント
これまでは断熱材の種類ごとに解説しましたが、それぞれに一長一短の特徴があるため判断に迷ってしまいます。
- 熱への耐久性はあるか
- 有毒ガスが発生しないか
- 湿気への耐久性があるか
- 気密性があるか
上記4点について、順番に解説していきます。
熱への耐久性があるか
熱により断熱材がダメージを受けてしまった場合、家の気密性や断熱性に大きな影響を与えてしまいます。さらに、耐火性能が低い場合は火災発生時に延焼するリスクが伴います。
断熱性選びで迷う場合は、熱への耐久性があるかどうかをベースに比較検討しましょう。
有毒ガスが発生しないか
発泡プラスチック系断熱材などの一部は、燃えるときに有毒ガスを生じます。
火災発生時の二次被害を防ぐためにも、断熱材に使用されている成分にも気を配りましょう。
湿気への耐久性があるか
断熱材が湿気に弱い、もしくは湿気を溜め込んでしまう場合、家屋内に結露が発生する原因にもなりかねません。
発生した結露はダニやカビの原因となるため、安心して住める環境を維持できなくなるおそれがあります。したがって、湿気に強い断熱材や調湿効果の高い断熱材の導入がおすすめです。
気密性があるか
「気密性」とは、すき間がどれだけないのかを数値に表した指標です。
気密性が高い家は有害物質が流入しづらく、家屋内の空気をクリーンに保てます。
このように、導入時にどのくらい気密性に影響があるのかも断熱材選びでは重要です。
断熱材の種類に関するよくある質問
この章では、断熱材の種類に関するよくある質問について解説します。
- 断熱材の種類で床におすすめなものは?
- 断熱材と発泡スチロールの違いは?
- 断熱材はどこで購入できる?
順番に回答していきます。
断熱材の種類で床におすすめなものは?
断熱材を床に使用する際には、防虫性と耐久性に優れる繊維系断熱材がおすすめです。
特に、グラスウールとロックウールは価格が安いため、床の断熱材によく使われます。
断熱材と発泡スチロールの違いは?
「熱を絶つ」という意味で、断熱材と発泡スチロールは同じです。
発泡プラスチック系断熱材のビーズ法ポリエチレンフォームは、発泡スチロールと製造工程はほとんど変わりません。
異なる点として、断熱材として使用される発泡プラスチック系断熱材は製造過程で強度を増強するため、より住宅向きの建材として製造されています。
断熱材はどこで購入できる?
断熱材は、ホームセンターやインターネット販売で購入可能です。
オンリーホームでは、高仕様×高性能な設備が標準仕様で購入できます。断熱材も例外ではなく、断熱性能の高さはもちろん発泡することで、現場の形状にぴったりと密着します。
断熱性能だけではなく気密性能も兼ね備えた住宅が実現可能です。
断熱材は自分の家に合った種類を選ぼう
この記事で紹介した断熱材11種類を細かく分類すると、さらに複数の種類に分類されます。
したがって、必要な断熱材を自分で見極めることは非常に困難となり、本記事で紹介した断熱材をもとに検討することがおすすめです。
オンリーホームでは、断熱材と気密性を兼ね備えた吹き付け断熱の住宅プランを実現しています。他にも、お客様に寄り添いながら最適なプランを提案しますので、家づくりをご検討中の方は、ぜひ一度モデルハウスへお越しください。