Column
コラム
住宅ローン ギリギリの生活を抜け出すために…!マイホーム貧乏にならない・抜け出すためにできること
更新日:2021.08.30
「住宅ローンの支払額が多くて生活がきつい…」と、ローンの返済に悩んでいる方は少なくないでしょう。苦労して手に入れた夢のマイホームなのに、暮らし始めてからの生活に支障をきたし、結局家を手放さなければならないということだけは、なんとか避けたいものです。
そもそも、なぜ住宅ローンの返済が辛くなるのでしょか。その状況を回避する手段には、どんな方法があるのでしょうか。すでに返済が辛くなっている方も、これから利用される方も知っておきたい、マイホーム貧乏にならない鉄則を紹介しましょう。
目次
なんで住宅ローンの返済が辛くなるのか?
まず、住宅ローンの返済が辛くなる原因について見ていきましょう。
原因の一つに、家計の変化が挙げられます。「転職や病気で収入が減った」「家族が増えて支出が増えた」といった収入や生活環境の変化を理由として挙げる方が多く見られるようです。このほか、「返済計画の見積もりの甘さ」や「返済期間が長すぎた」といった声を聞かれることもあります。
収入状況や生活環境が変わった
返済計画をしっかり立てたとしても、長い人生のあいだに何が起きるかわかりません。
「勤務先の業績悪化で収入が減ってしまった」「家族が増えて生活費の負担が重くなった」「離婚して慰謝料などの支払いが増えた」など、収入減少・支出増加が住宅ローンの支払いに影響を与えている方は多くいらっしゃいます。
また、病気やケガなどで失業したり、仕事を変えたりといった変化も、返済計画を狂わせる一因になります。
返済計画が甘かった
そもそも借入額が多すぎたことが、住宅ローンの返済を辛くさせる場合があります。とりわけ20代や30代の若い方だと、今後収入が増えることを見越して「これくらい借り入れでも返済できるだろう」と、多めに借り入れるケースがみられるようです。しかし、実際には収入がそれほど増えず、いつまでも返済負担が軽くならないと苦労されている方も少なくありません。
また、固定資産税や都市計画税など、ローン以外にかかる住宅コストを見越しておらず、「想定していなかった出費があるため返済が苦しくなる」という方もいらっしゃいます。
返済期間が長すぎた
現在の住宅ローンは、返済期間が25年から35年と長く借り入れできる商品が一般的です。仮に40代の方が返済期間を30年で設定すると、完済するころには70代。安定した収入が年金しかないと老後も返済に追われ、苦しい状況が続きます。
高齢になると病気やケガなどをしやすくなり、思わぬ出費が続く場合があります。そのためにも、余裕を持った返済計画を立てることが重要になります。
返済が辛い状態が続くとどうなるのか?
住宅ローンが家計を圧迫する状況になったら、できるだけ早く改善策を講じなければなりません。家計の苦しい状況が続けば、いずれ返済が滞るようになるのは明白だからです。
では、返済が滞るとどのような事態が想定されるのでしょうか。
まず、借入先の金融機関は信用情報機関に対して金融事故の報告をします。いわゆる「ブラックリスト」への登録です。ブラックリストに登録されると、住宅ローンだけでなく金融機関などが提供する融資の審査に影響が出てきます。自動車や携帯電話の分割支払いなど、ほかのローンも使えなくなる可能性が高まります。お金に困っているのにどこからも借り入れができない状況に陥り、より窮地に追い込まれるでしょう。
さらに住宅ローンの返済滞納が続くと、金融機関は裁判所に対して強制退去の申し立てをおこなうことがあります。金融機関の立場でいうと、貸したお金を返してくれないのですから、抵当権を設定した家や土地を売却し、その資金で返してもらおうと競売の手続きを進めるのです。
こうなれば、せっかく手に入れたマイホームを手放すことになってしまいます。しかも、競売した額で住宅ローンの残債を賄えなければ、一括で残債の支払いを求められます。もし支払いができなければ、給料の差し押さえなどを裁判所から命じられる可能性もあるのです。
もちろん、新しい住まいを探す際にかかる費用や引越し代なども、自分の資金で支払わなければなりません。家を失った挙句、路頭に迷う生活になることだけは、なんとか避けたいものです。
住宅ローンでギリギリの状態にならないために知っておくこと
マイホームを手放すだけでなく、その後の人生を不利益なものにしないためにも、住宅ローンの返済を滞らせないことが重要です。
そこで何よりも大切なのが、「余裕を持った返済計画を立てる」ことです。家計に変化があっても対応できる返済額を把握し、借入額を決めるのがポイントの一つでしょう。これから住宅ローンの利用を検討される方は、以下の点を踏まえたうえで余裕のある返済計画を立てるようにしましょう。
返済負担率は25%以内にする
住宅ローンの利用を検討する際には、現在の収入でどれくらいの融資が受けられるかを確認することがポイントの一つです。一例として、返済負担率に余裕を持たせることも、家計への負担を抑えられます。
返済負担率とは、収入に対する年間返済額の割合を示したもので、一般的には25%以下が良いといわれます。仮に年収が400万円の人なら年間の返済額を100万円以内にすると、余裕を持った返済計画を立てやすいとされるのです。
金融機関の中には、返済負担率の上限を35%までと設定しているところもありますが、これが適用されるのは高収入を安定して得られる人くらいです。これから住宅ローンの利用を検討される方は、返済負担率が25%以下になるよう借入額を検討しましょう。
定年前に完済する
もう一つ大切な要素が、年齢です。多くの金融機関では完済時年齢を80歳未満と決めていますが、実際には安定した収入が得られる定年前に設定されるケースが大半です。
定年退職後にも安定した収入源として年金がありますが、住宅ローンを支払うと生活費を賄えない可能性があります。それに、高齢になると医療費など突発的な支出が増えることも予測されますから、完済はできれば60歳までに、遅くとも定年退職の年までに設定しましょう。早く返済できれば貯蓄に回せるので、老後が安心です。
住宅ローンの返済がきつくなる前にやるべきこと
住宅ローンの返済負担が重く感じ始めたら、できるだけ早く対策を打つことで解消につながる可能性が高まります。収入や生活環境の変化などで支払いが辛くなったら、以下の対策を検討してみましょう。
家計の見直し
最初に検討したいことは、家計のチェックです。とりわけ、住宅ローンのように毎月支払いが生じる「固定費」の削減から検討を始めましょう。
支払額だけをみると住宅ローンが大きなウェイトを占めますが、家計を苦しめている要素は住宅ローンのほかにも保険や他のローン、教育費、通信費などもあります。なかでも保険は、家計の見直しで大きな削減効果が期待できますから、ぜひ検討したい項目です。
たとえば、生命保険。住宅ローンを利用されている方なら団体信用生命保険に加入していますから、これが生命保険の代わりになれば他の生命保険を解約するという方法があります。「万一のことを考えると、解約するのが不安…」という方であれば、死亡時の補償金を減らすだけでも月々の保険料を抑えることが可能です。
そのほかにも加入している保険があれば、今の生活に合わせて見直すことで保険料を削減できる場合がありますので、専門家と相談しながら検討してみましょう。
金融機関に相談する
家計を見直しても生活が苦しいという状況であれば、住宅ローンを借り入れている金融機関に「月々の支払額を抑えられないか」と相談するのも一手です。借入期間を伸ばせるのであれば、月々の支払額を抑えられる可能性があります。
また、金利の低い商品への借り換えを提案されることもあるでしょう。現在、利用している住宅ローンの金利より1%でも低ければ、トータルの返済額を抑えられ、月々の支払額が安くなる可能性がありますから、できるだけ早く相談することをおすすめします。
借入している金融機関から断られた場合、別の金融機関の商品に借り換えるという方法もあります。低金利で知られるネット銀行なら、返済負担の軽減効果が期待できるでしょう。
なお、借り換えを検討する際には、「手数料」がかかることが注意点の一つです。手数料は各行によって異なりますが、銀行の場合は10~20万円程度、ネット銀行だと借入額の2%前後+5万円くらいのところが多いようです。
また、借り換えをする際にも審査があります。審査に通らなければ借り換えできませんので、必ずできるわけではない点も把握しておきましょう。
住み替えるという選択肢
「さまざまな方法を試したけど、生活状況が好転しない」という方なら、思い切って売却するのも選択肢の一つです。辛い選択ではありますが、住宅ローンの返済から解放されることが優先であれば、家を売却して新しい住まいに住み替えるのも一手ではないでしょうか。
売却時の注意点としては、売却額で住宅ローンの残債を完済できることが前提条件であること。住宅ローンを完済できなければ、家や土地に設定された抵当権を外せず、売却できません。売却額は、住宅ローンの残債より高く設定したうえで、売却活動を進めることが大切です。
まとめ
住宅ローンの返済が辛いと感じたら、できるだけ早く動き出すことが大切です。何もせずに放置すると、いずれ返済が滞りマイホームを手放さなければならなかったり、最悪の場合は自己破産したりする人もいらっしゃいます。
「動き出したいけど、具体的にどのように動けば良いかわからない」という方も多いと思います。そんなときは、銀行の窓口やファイナンシャルプランナーなど専門家に頼ると安心です。現在の家計状況から、何をどうすればよいか具体的にアドバイスしてくれるでしょう。苦しい状況から一刻も早く逃れるためにも、頼れる人に相談しながら前向きに検討することが大切です。