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住宅購入時の贈与税を節約しよう!贈与税を非課税にするための特例の使い方は?

更新日:2021.06.01

マイホームの購入資金の一部を、親から援助してもらおうと考えている方もいらっしゃるでしょう。住宅ローンから全額借入することも可能ですが、金利が高くなり返済負担が重くなるため、「少しでも自己資金を増やしたい」と親に援助を求める方は少なくありません。
しかし、親であっても多額の資産を譲り受けると贈与税が課せられます。

そんな方に朗報。贈与税には、通常より非課税限度額が高く設定されている「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」があり、一定の条件を満たせば節税できることがあります。
一体どんな特例なのか、その内容について確認しましょう。

贈与税とは

贈与税とは、個人間の贈与で多額の財産を取得したときに、その財産に対して課税される税金のことです。金銭だけでなく、不動産、自動車、有価証券なども対象になります。

贈与税には基礎控除額があり、その年の1月1日から12月31日までの贈与合計額が110万円以下なら課税されません。

ただし、住宅を取得することが目的の贈与であれば基礎控除額を高く設定された特例が使えます。それが、「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」です。

住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例とは?

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」とは、親や祖父母などから住宅取得を目的とした贈与を受けても、法律で定められた限度額までは非課税にするという特例です。

上記の通り、一般的な贈与税は基礎控除額が110万円ですが、この特例だと省エネ等住宅(長期優良住宅、低炭素住宅など)は1,500万円、省エネ等住宅以外の住宅は1,000万円までが非課税になります。

また、この特例は通常の贈与税の基礎控除と併用できるため、それぞれに110万円を加算することが可能です。つまり、省エネ等住宅なら最高1,610万円まで、省エネ等住宅以外の住宅なら最高1,110万円までが非課税限度額となります。

なお、時限特例のため「2021年12月31日までに契約締結した場合」に適用されます。ここでいう契約締結とは、不動産会社との売買契約や施工会社と工事請負契約の締結日です。贈与契約の締結日ではないので、注意しましょう。

特例が適用される条件

住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例を受けるには、一定の条件を満たす必要があります。大前提となる条件は以下の通りです。

(1)直系尊属(両親や祖父母)からの贈与であること
(2)贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の人
(3)合計所得金額が2,000万円以下(床面積が40m2以上50平方m2未満の家の場合は、1,000万円以下)
(4)日本国内に住所がある人で、日本国内で建てた住宅であること
(5)登記簿上の床面積が40m2以上240m2以下、床面積の半分以上を住居として使用すること
(6)贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居すること

(1)に関して、兄弟や親戚、配偶者の両親や祖父母は対象外であることに注意が必要です。
(6)については、贈与税の申告期限が翌年3月15日であることから、期日が設定されています。期日を過ぎると特例が受けられないことがありますから、必ず期限内に申告するようにしましょう。

なお、中古住宅を購入する場合は、上記に加えて次のいずれかを満たす必要があります。

・耐火建築物(鉄骨造・RC造など)は築25年以内、木造は築20年以内の中古物件
・耐震基準に適合している中古物件(購入後に耐震改修工事を行う場合は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに一定の耐震基準に適合証明された中古物件であること)

非課税限度額を超える場合の贈与税の計算方法

住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例により、最高1,500万円までが非課税限度額になります。

しかし、「限度額以上の資金援助を受けたい」という方もいらっしゃるかもしれません。その場合、上限を超えた額に対して贈与税が課せられることになります。

特例による贈与税の計算方法は、超えた分(控除後の課税価格)に対して「税率」をかけ、「控除額」を差し引いて求めます。税率と控除額は、以下の通りです。

控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
10万円 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

税額のシミュレーション

たとえば、省エネ住宅を建てるために親から2,000万円の資金援助を受けた方の贈与税を求めてみましょう。なお、これ以外の贈与は受けていないことを前提とします。

まず、上記表の「控除後の課税価格」を求めます。

2,000万円-(1,500万円+110万円)=390万円

上記表より、390万円の税率は15%、控除額は10万円ですから贈与税額は以下の通りです。

390万円×15%-10万円=48.5万円

なお、2,000万円の援助を特例ではなく一般税率(税率50%、控除額250万円)で求めると、贈与税額は695万円にもなりますから、特例を受けることで600万円以上の節税につながるのです。

住宅取得等資金贈与の非課税の特例の注意点

住宅取得等資金贈与の非課税の特例を受けるには、税務署に申告する必要があるほか、以下の注意点に関しても確認が必要です。特例の注意点をまとめました。

税額0円でも税務署に申告すること

特例を受けるには、贈与を受けた翌年3月15日までに対象物件へ入居し、管轄税務署に申告する必要があります。これは、非課税限度額内であっても同じです。

たとえば1,000万円の贈与を受けた場合、特例だと非課税限度額内ですから贈与税額は0円ですが、申告しなければ「何が目的の贈与なのか」がわからず、一般税率の贈与税の支払いを求められることがあります。期限内に必ず申告するようにしましょう。

なお、申告する際には以下の書類が必要です。

■特例の申告に必要な書類
・贈与税申告書
・戸籍謄本
・登記事項証明書
・工事請負契約書または売買契約書の写し
・源泉徴収票(所得税の確定申告書を提出した場合は不要)

完成時期から逆算してスケジュールを考慮する

贈与を受けた翌年3月15日までに住宅の引き渡しを受けて入居することも、特例を受ける条件の一つです。この日までに家が完成せず引き渡しが済んでいないと、特例が受けられないことがあります。

「工事が完了に準ずる状態にある」と税務署が認めた場合は、特例が受けられますが、あらかじめ余裕を持ってスケジュールを立てることが大切です。

住宅ローン決済後の贈与は認められない

住宅ローンを利用される方は、決済前に贈与を受ける必要があります。決済後に受けると、住宅ローンの返済などほかの目的で贈与を受けたとみなされ、特例が適用されないことがあります。

住宅ローン控除と併用するときの注意点

住宅取得等資金贈与の非課税の特例は、住宅ローン控除とも併用できます。その際、資金援助額とローン借入額の合計が住宅購入費用を上回ると、借入額の一部が住宅ローン控除の対象外になることを把握しておきましょう。

たとえば、3,000万円の物件を購入するのに、親から1,000万円の資金援助を受け、さらに住宅ローンを2,500万円借り入れたとします。この場合、物件価格を超える500万円は住宅ローン控除の対象から外れるため、住み始めてからの控除額も減ってしまいます。

引っ越しや家具の購入などを見越して多めに資金援助を受けようと考えている方は、住み始めてからの節税効果が十分に得られなくなるので、注意しましょう。

特例を使用しない方が節税できる?

贈与税と似たものに、相続税があります。実際に、この2つの税は関連性が高く、「贈与税は非課税だったけど相続税の方が高くなった」というケースも想定され、場合によっては特例を受けないほうが節税効果は得やすいこともあります。

特に、以下のケースでは将来の相続を見越して比較検討することをおすすめします。

相続税の小規模宅地等の特例

「相続税の小規模宅地等の特例」とは、亡くなった親(被相続人)の自宅を相続する際に、その物件の評価額を330m2まで8割減にできる特例です。不動産評価額を抑えることで、相続税の大幅な節税が期待できます。

この特例が適用されるのは、「配偶者」「同居の親族」「家を持っていない親族」のいずれかになります。「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」で家を建てた方は、配偶者でない限りこれらの条件を満たしませんから、親の自宅を相続すると多額の相続税が課せられる可能性があります。

相続時精算課税制度

「相続時精算課税制度」とは、相続の一部を前倒しできる制度です。生前の贈与額が累計2,500万円までは贈与税が課せられない、特別控除が利用できます。

たとえば、親から4,000万円の支援を受けて省エネ等住宅を建てる場合、特例の非課税限度額は1,500万円ですから、オーバーした2,500万円に対して贈与税が課せられます。これを相続時精算課税で支払うことで、全額分の贈与税を非課税にできるという使い方ができるのです。

ただし、制度名の通り「相続時に精算する」ものですから、相続時に贈与分が課税対象になります。さらに、年間110万円の基礎控除も受けられなくなります。

特例の贈与税額と、相続時精算課税制度の相続税額、どちらが安くなるかはシミュレーションして確認するしかありません。税理士など専門家と相談した上で、判断されることをおすすめします。

非課税限度額以上に贈与を受けるにはどうする?

住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例でも、相続時精算課税制度でも、非課税限度額以上の贈与に関しては、贈与税が課せられます。それでも、贈与税の支払いから免れる方法が、いくつかあります。

たとえば、家を建てる数年前から「非課税限度額の贈与を受け続ける」こと。年間110万円までは贈与税がかかりませんから、5年続ければ550万円の資金援助が非課税で得られます。地道な手段ですが、贈与税の支払いを確実に免除できる方法でもあります。

「購入する住宅を共有名義にする」というのも一手です。土地や建物の名義(持ち分)を親と共有にすれば、贈与ではないので贈与税は課せられません。もちろん、生活をともにする必要もありません。

ただし、親が亡くなったときの相続について考えておく必要があります。相続人が自分だけであれば、親の持ち分の相続税を支払うだけで済みますが、ほかに相続人がいる場合、親の持ち分をほかの相続人も相続してトラブルが生じるおそれがあります。とはいえ、遺言を残しておくなど相続時の対策をしておけば贈与税は抑えられます(それでも相続税は生じます)。

まとめ

令和3年4月以降の非課税限度額は、省エネ等住宅が1,200万円、それ以外の住宅は700万円に引き下げられる予定でした。しかし、令和3年度の税制改正により、省エネ等住宅は1,500万円、それ以外の住宅は1,000万円までに据え置かれました。上手に活用すれば、大きな節税効果も期待できますので、検討してみてはいかがでしょうか。

なお、この特例は2021年12月31日までとなっていますので、利用を検討されている方は早目に動き出すことをおすすめいたします。

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