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2022年の住宅ローン控除の改正内容は?控除が受けられる基準も解説
更新日:2022.08.01
住宅取得費用は高額ではあるものの、各種支援対策が用意されており、マイホーム取得を後押しする環境が整っています。
その中でも、家計の負担を大きく軽減する住宅ローン控除は多くの方が利用していますが、制度の改正により、利用者にとって分かりづらい部分があることも否めません。
そこで今回は、2022年の住宅ローン控除の改正内容について解説していきますので、マイホーム購入を検討中の方は、ぜひとも最後までお付き合い下さい。
そもそも住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して一定の住宅を購入・新築・増改築をした場合に、本来支払うべき所得税が控除される制度のことです。
金利負担の軽減により家計の負担を減らすことで、住宅取得にメリットが出る支援制度といえるでしょう。
・所得税・住民税が減税される
・従来の住宅ローン控除
順番に解説します。
所得税・住民税が減税される
住宅ローン控除は所得税の減税措置であり、通常は所得税の負担が軽減されるだけですが、所得税から控除額を引ききれない場合は、住民税からも控除されます。
ただし、住民税の控除上限は課税総所得金額等の5%(上限97,500円)に設定されているため、必ずしも全額が控除されるわけではありません。
従来の住宅ローン控除
2022年1月1日以前の制度の概要を以下の通りまとめていますので、変更点が自分たちにどのような影響を及ぼすかを把握して下さい。
借入限度額 | 新築:4,000万円(認定住宅5,000万円) 中古住宅:2,000万円 |
---|---|
控除割合 | ローン残高の1% |
控除期間 | 10年 |
所得要件 | 3,000万円 |
適用期限 | 2021年12月31日までに入居 |
中古住宅の築年数要件 | 木造:築20年以内 耐火建築物:築25年以内 |
2022年の住宅ローン控除の改正内容
今般の制度改正で注意すべきポイントを以下の項目ごとにまとめていますので、自分たちの家づくりへの影響を考慮しながらチェックして下さい。
・入居期限が2025年12月末までに変更
・住宅ローン控除率が1%から0.7%に変更
・新築の控除期間が原則10年から原則13年間に変更
・年間所得が3,000万円から2,000万円に引き下げ
順番に見ていきましょう。
入居期限が2025年12月末までに変更
一つ目の改正ポイントは、入居期限が2025年12月末までと制度の適用期限が4年間延長されたことが挙げられます。
入居時期により借入限度額が変動することを念頭に、マイホーム取得を検討中の方は家づくりのタイミングを見極めて、適切な時期に購入を判断して下さい。
住宅ローン控除率が1%から0.7%に変更
控除率が1%から0.7%に引き下げられたことは、控除額の減少に繋がりますので、残念に感じる方がいるかもしれません。
しかしながら、低金利が続く現在、1%の控除率よりも低い金利で融資を受けることにより発生する逆ザヤの問題を解決するためにはやむを得ないといえるでしょう。
ただし、平均的な所得の方へのマイナス影響はほとんどありませんので、改正により損をする方の数が少ないといえます。
新築の控除期間が原則10年から原則13年間に変更
新築住宅の控除期間が引き上げられたことも改正ポイントの一つ。
原則は13年間と期間が引き上げられたものの、認定住宅などに該当しない一般住宅については、2024年以降の入居のケースで、控除期間が10年になることを覚えておきましょう。
年間所得が3,000万円から2,000万円に引き下げ
控除を受けるための所得要件が2,000万円に引き下げられたことも改正ポイントの一つです。
平均年収を考慮すると、影響がある方はごく少数ではありますが注意点として覚えておきましょう。
また、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅については、所得要件が1,000万円以下に下がることに注意が必要です。※2023年12月31日までに建築確認を受けた新築住宅に限る
住宅ローン控除が受けられる基準
控除制度の適用を受けるための要件を以下の通りまとめていますので、制度の概要を把握して住宅取得にかかる家計の負担軽減に努めて下さい。
・返済期間が10年以上である
・本人が居住している
・住宅の床面積が50㎡以上
・本人の年間所得が2,000万円以下
・居住用割合が1/2以上を占めている
・その他の特例控除を受けていない
順番に見ていきましょう。
返済期間が10年以上である
基本的に、長期の返済期間を設定する方がほとんどなので、あまり気にする必要はありませんが、繰り上げ返済により返済期間が短縮されるケースには注意して下さい。
返済完了日の前倒しにより返済期間が10年を下回ったケースでは、控除が適用されなくなることを覚えておきましょう。
本人が居住している
そもそもの話、住宅ローン自体が自ら居住するための住宅の新築・購入・建て替えを目的とした借入であるため、適用要件としても妥当なものといえるでしょう。
また、住宅の取得から入居までの期間が6ヶ月以内であることも適用要件の一つなので、家づくりのタイミングやスケジューリングに注意して下さい。
住宅の床面積が50㎡以上
住宅の床面積についても、一定の適用要件が設けられていますが、床面積50㎡以上であれば、多くの方にはあまり関係のない話といえるでしょう。
ただし、登記簿上の面積で判断されるため、分譲マンションなどパンフレットで50㎡をわずかに上回る場合には注意が必要です。
本人の年間所得が2,000万円以下
年間所得についても適用要件が設けられていますが、平均所得を考慮するとほとんどの方は心配する必要はないといえるでしょう。
ただし、年間所得2,000万円以下には給与所得だけでなく、退職所得・不動産所得・配当所得なども含まれる点に注意が必要です。
居住用割合が1/2以上を占めている
住宅の居住用割合についても、適用要件が設けられていることを覚えておく必要がありますが、こちらも多くの方にとってはあまり関りのない話といえるでしょう。
具体的には、賃貸併用住宅などが挙げられますが、住宅部分が1/2未満では要件を満たすことができず、控除自体を受けられませんので注意して下さい。
その他の特例控除を受けていない
その他の特例控除を受けているケースでは、制度の併用可否のチェックが不可欠です。
具体的には、居住用財産の3,000万円控除などが挙げられますが、住宅ローン控除との併用はできませんので、どちらが得になるかを判断しなければなりません。
住宅ローン控除の控除額の変化
控除制度の改正に伴い、控除額がどの程度変化があるかを以下の項目ごとにまとめています。
自分たちの年収をもとに、借入額を決める上での参考として下さい。
・新築の場合
・中古住宅の場合
順番に解説します。
新築の場合
改正に伴う控除率の引き下げにより、新築の場合の控除額は全体的に圧縮され、これまでよりも控除制度が縮小されたという印象は否めません。
また、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、環境性能の高い住宅などは一般住宅と比較して優遇されており、今後も同様の流れが続くことが予想されます。
借入限度額 | 最大控除額 | |
---|---|---|
改正前 | ||
長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 50万円×10年=500万円 |
一般の住宅 | 4,000万円 | 40万円×10年=400万円 |
改正後 | ||
長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円(4,500万円) | 35万円×13年=455万円(409.5万円) |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円(3,500万円) | 31.5万円×13年=409.5万円(318.5万円) |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円(3,000万円) | 28万円×13年=364万円(273万円) |
一般の住宅 | 3,000万円(2,000万円※1) | 21万円×13年=273万円(140万円) |
※カッコ内は2024年~2025年に入居したケース
※1 2023年12月31日までに建築確認を受ける住宅または登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前の住宅に限る
中古住宅の場合
改正に伴う控除率の引き下げにより、中古住宅の場合の控除額も圧縮されていますが、認定住宅などのケースでは借入限度額の引き上げにより最大控除額が若干増える結果となっています。
また、中古住宅の築年数の要件が廃止され、新耐震基準適合住宅であれば控除対象となる点は多くの方にとって有利な条件といえるでしょう。
借入限度額 | 最大控除額 | |
---|---|---|
改正前 | ||
中古住宅 | 2,000万円 | 200万円 |
改正後 | ||
認定住宅など | 3,000万円 | 21万円×10年=210万円 |
一般の住宅 | 2,000万円 | 14万円×10年=140万円 |
住宅ローン控除に関するよくある質問
住宅ローン控除に関するよくある質問を以下の通りまとめていますので、他の方の疑問点を自分たちのケースに置き換えて家づくりに取り組んで下さい。
・最大控除額は従来の住宅ローン控除と比較してどれくらい変わる?
・従来の住宅ローン控除よりお得になるのはどんな場合?
・住宅ローン控除を受けるために必要な手続きは?
順番に解説します。
最大控除額は従来の住宅ローン控除と比較してどれくらい変わる?
住宅の環境性能による違いはあるものの、最大控除額は認定住宅で約50〜100万円、一般住宅で約127〜260万円下がる可能性があります。
ただし、平均的な年収の方が3,000~3,500万円前後の借入をするケースでは、改正前とほとんど変わらないか、むしろ有利になることもあるでしょう。
従来の住宅ローン控除よりお得になるのはどんな場合?
年収や借入金額次第ではあるものの、省エネ性能の高い住宅についてはお得になるケースもあるでしょう。
ただし、省エネ性能の住宅は建築費用も高くなるため、控除額を増やすための家づくりはおすすめできません。
あくまでも自分たちの住みたい家をベースにして、可能な範囲でお得になるように制度を利用して下さい。
住宅ローン控除を受けるために必要な手続きは?
住宅ローン控除を受ける際、初年度においては確定申告を行う必要があります。
必要書類として、借入残高証明書・住宅借入金等特別控除額の計算明細書・請負契約書などが挙げられますので、余裕をもって手続きできるように準備を進めておきましょう。
また、給与所得者については、2年目以降は年末調整で申告することが可能です。
まとめ:2022年の住宅ローン控除の内容を理解してお得に住宅ローンを利用しよう
最初に述べた通り、住宅ローン控除は住宅購入による家計の負担を軽減するための有効な制度の一つです。
改正内容は多岐にわたりますが、その中でも住宅の環境性能や入居時期による控除額の違いに注意しなければなりません。
制度の恩恵を最大限に享受するためにも、改正内容を理解してお得に住宅ローンを利用することを心がけておきましょう。
オンリーホームでは、イニシャルコストだけではなく、生涯コストにもこだわった住宅を提案しています。
また、住宅ローン控除を含めた資金計画作成もお手伝いしていますので、マイホーム購入を検討中の方は、お気軽にモデルハウスへ足をお運び下さい。