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住宅ローン借り換えのメリットは?デメリットや適したタイミングも解説
更新日:2023.05.29
この記事では住宅ローンの借り換えについて、メリットとデメリット、借り換えに適したタイミングについて解説します。
住宅ローンを借り換える際には、メリットとデメリットを理解する必要があります。
また、最適なタイミングで借り換えることで、住宅ローン返済や団体信用生命保険の内容を改善できるでしょう。
【この記事でわかること】
● 住宅ローン借り換えのメリットとデメリット
● 住宅ローン借り換えのタイミング
そもそも住宅ローンの借り換えとは?
住宅ローンの借り換えとは、住宅購入時に融資契約した金融機関との契約を解除し、別の金融機関と契約することです。
そもそも住宅ローンは抵当権順位の関係から、一行からしか借りられません。このようなルールがあるため、住宅購入時には慎重に金融機関を選択する必要があります。
しかし、金融市場の変化や経済の回復に伴い、契約したあとにより良い商品が発表されることも少なくありません。
現状の融資契約を解除するためには、ほかの金融機関と融資契約を締結し、一括返済する必要があります。
住宅ローンを借り換える場合には、次のような流れになることを知っておきましょう。
・住宅購入時に金融機関と融資契約を締結し、実行を受ける
・融資スタート後に借り換えを検討することになった場合、借り換え先を検討する
・借り換え先を決め、融資契約を締結する
・借り換え先から融資の実行を受け、同タイミングで現在の金融機関に一括返済する
・現在の金融機関との契約を解除し、借り換え先の融資がスタートする
上記の流れを踏まえて、住宅ローンの借り換えについて解説します。
住宅ローン借り換えのメリット
住宅ローンの借り換えには、以下のメリットがあります。
・月々の返済額や支払総額を減らせる
・固定金利から変動金利に切り替えて金利を下げられる
・団体信用生命保険の補償を充実させられる
・リフォームや建て替えのローンを一緒に借りられる
・将来の金利上昇リスクに備えられる
順番に見ていきましょう。
月々の返済額や支払総額を減らせる
住宅ローンを借り換えるメリットの1つとして、月々の返済額や支払総額を減らすことで現状よりも返済がラクになる点が挙げられます。
例えば、住宅ローンを組んだタイミングでは年収が低かったため金利が高く設定されていたとしても、数年後に年収が上がることもあります。この場合、審査条件が当初よりも改善されるため、より低金利で融資を受けられるでしょう。
借り換えのメリットを受けやすくなるため、この場合は借り換えることがおすすめです。
固定金利から変動金利に切り替えて金利を下げられる
固定金利から変動金利に切り替えることで、金利を下げられる点も、借り換えのメリットです。
金利上昇のリスクを懸念し固定金利を選択したものの、リスクがそれほど高くないと思い直すことはよくあります。
また、固定金利は満了後に変動金利に移行するのが一般的ですが、そのタイミングで他の金融機関を検討し、より条件の良い金融機関を選択し借り換えするのも良いでしょう。
団体信用生命保険の補償を充実させられる
住宅ローンを借り換えることで団体信用生命保険の補償を充実させられる場合があります。
団体信用生命保険とは、債務者が死亡もしくは重大な障害状態になった場合に、住宅ローン残債の債務を免責できる保険です。
この保険は死亡と重大な障害状態以外にも、ガンや三大疾病といった場合に適用できる商品もあり、金融機関によって商品内容は大きく異なります。
そのため、住宅ローンの借り換えと同時に団体信用生命保険を見直す人もいます。
ただし、団体信用生命保険は住宅ローンと紐づいているため、団体信用生命保険を変更する場合は住宅ローンも解除する必要がある点に注意しましょう。
リフォームや建て替えのローンを一緒に借りられる
住宅購入後、リフォームや建て替えを実施する際にリフォームローンなどを組む場合、住宅ローンを借り換えすることでローンをまとめられ、支払いを一本化できます。
こういった「まとめローン」は審査が厳しい傾向にありますが、金利を全体的に抑えられるメリットがあるため、検討する価値はあるでしょう。
将来の金利上昇リスクに備えられる
変動金利から固定金利に変更することで、金利上昇リスクに備えられます。
固定金利から変動金利に変更することで総支払額を抑えられますが、金利上昇のリスクを抱えることにもなります。
そこで、金利上昇のリスク回避を重要視する場合は、変動金利から固定金利に切り替えましょう。
この場合は同じ金融機関でも検討できますが、住宅ローン借り換えによって固定金利の条件が良くなるケースもあります。
住宅ローン借り換えのデメリット
住宅ローンの借り換えには、デメリットもあります。
これらのデメリットは、場合によってはメリットを打ち消す内容にもなりかねないため、内容をチェックした上で慎重に検討する必要があるでしょう。
・手数料が発生する
・はんざつな手続きや書類が必要となる
・再度審査を受ける必要がある
・負担が増えるおそれがある
上の4つのデメリットをそれぞれ説明します。
手数料が発生する
住宅ローンを借り換える場合には事務手数料がかかり、印紙代や抵当権解除・設定費用も必要です。
このような事務手数料は、借り換えを実施することで50〜100万円程度の費用がかかるため、全体を通じて得するかどうかをチェックしましょう。
はんざつな手続きや書類が必要となる
住宅ローンの借り換えの際には、複雑な手続きや複数の書類が必要となります。
借り換えには本人確認書類のほかに、現在借入している金融機関からの返済予定表や住民票、印鑑証明書、源泉徴収票、物件情報、健康診断書などがあります。
これらの書類の入手場所は以下の通りです。
書類 | 入手場所 |
本人確認書(運転免許証) | 保持しているケースがほとんど |
返済予定表 | 借入中の金融機関 |
住民票 | 市役所もしくはコンビニ |
印鑑証明書 | 市役所もしくはコンビニ |
源泉徴収票 | 勤務先 |
物件情報(全部事項証明書など) | 法務局 |
健康診断書(借換額が5,000万円を超える場合) | 勤務先 |
書類によって、入手できる場所が大きく異なるため、注意しましょう。
再度審査を受ける必要がある
借り換えは金融機関が変わるため、審査を再度実施する必要があります。
その際には源泉徴収票や身分証明書、現在借入している全ての明細を準備する必要があるでしょう。
また、金融機関によっては平日に金融機関の担当者と面談する必要もあるため、借り換えには手間がかかってしまいます。
負担が増えるおそれがある
同じような金利の金融機関に借り換えした場合、事務手数料分の負担が増えるおそれもあります。
次章で解説する住宅ローン借り換え効果のシミュレーションをチェックし、どのくらいの効果が見込めるのかを把握しましょう。
住宅ローンの借り換え効果を実際にシミュレーション
住宅ローンの借り換え効果をシミュレーションしていきます。条件は以下の通りです。
【条件】
● 住宅ローン残債:2,500万円 ● 当初の返済期間:35年 ● 希望返済期間:25年 ● 現在の金利:0.8% ● 金利タイプ:変動(金利変動なしとする) ● 借入時の事務手数料:100万円 |
この条件でシミュレーションした結果は、以下の表の通りです。
金利 | 月々返済額(円) | 総支払額(円) | 借り換えによって得する金額(円) |
0.8%(現状) | 91,971 | 27,591,459 | ±0 |
0.7% | 90,861 | 28,258,396 | -666,937 |
0.6% | 89,760 | 27,927,938 | -336,479 |
0.5% | 88,667 | 27,600,091 | -8,632 |
0.4% | 87,583 | 27,274,836 | +316,623 |
0.3% | 86,507 | 26,952,194 | +659,265 |
これは、住宅を35年ローンで購入し、0.8%の金利での返済を10年経過した時点で借り換えを検討した場合です。残債が2,500万円のとき、金利が半分となる0.4%以下であれば総支払額を減らすことが可能となり、一定の効果が見込めることがわかりました。
このように、事務手数料と金利のバランスが非常に重要といえます。
住宅ローンの借り換えに適したタイミング
住宅ローンの借り換えに適したタイミングはいくつかありますが、人生で頻繁に出会うことはありません。
この章で解説するタイミングを事前に把握し、タイミングを逃さないようにしましょう。
・金利が上がるタイミング
・転職などによって年収が変化するタイミング
・金利タイプを変更できるタイミング
上記3つのタイミングについて、それぞれ解説します。
金利が上がるタイミング
大手銀行が固定金利の利上げを発表するなど、金利上昇の兆候が表れたタイミングは、住宅ローンの借り換えを検討すべきでしょう。
2022年での固定金利の利上げについての発表では、固定金利は想定していた以上に上昇することはなく、ほぼ横ばいでした。
また、固定金利と変動金利では金利決定の仕組みが異なるため、必ずしもどちらかに追随するとは限りません。金利の動向はチェックしつつも、慎重な判断が必要です。
転職などによって年収が変化するタイミング
転職による年収の変化は、ライフサイクルに大きな影響を及ぼします。
年収と住宅ローン返済のバランスが大きく変わるタイミングは、住宅ローンの借り換えタイミングともいえます。
金利タイプを変更できるタイミング
固定金利や選択固定金利は期間中に内容変更はできませんが、期間満了となったタイミングでは金利タイプを変更できます。
期間満了時には金融機関も変更できるため、住宅ローン借り換えを検討すべきタイミングといえるでしょう。
住宅ローンの借り換えに関するよくある質問
この章では、住宅ローンの借り換えに関するよくある質問について、解説します。
・住宅ローンの借り換えで得する条件は?
・住宅ローンの借り換え審査は甘い?
・住宅ローンの借り換えにおける失敗は?
住宅ローンの借り換えで得する条件は?
一般的には現在借入している金利から半分以下になるのであれば、借り換えの効果が見込めるといえるでしょう。
住宅ローンの借り換えには事務手数料が発生するため、手数料分を借り換え時の総額に加算して検討する必要があります。
住宅ローンの借り換え審査は甘い?
住宅ローンを一度借りた状態で受ける借り換え審査は甘くなるイメージがありますが、実際は審査内容に大きな違いはありません。
あくまでも借り換えの事前審査提出時点で申込者を金融機関はチェックするため、審査基準に大きな変化はないでしょう。
住宅ローンの借り換えにおける失敗は?
住宅ローンを借り換えして失敗した事例には、前述した事務手数料分の上乗せ以外にも、給与振込口座を変える工数が発生したケースもあります。
ネット銀行以外に借り換えた場合、給与口座と住宅ローン引き落とし口座が変わります。
このような場合には住宅ローンの振込忘れを防ぐために、給与口座も借り換え先に変更することが一般的です。
そのため、勤務先に連絡したり口座振替の手続きをしたりなどの手間が発生します。
住宅ローンの借り換えで後悔しないためにはメリット・デメリットを把握しよう
住宅ローンの借り換えは頻繁に実施しないため、慎重にタイミングを計る必要があります。
オンリーホームでは住宅建築のタイミングだけでなく、繰上げ返済や住宅ローン借り換えのタイミングなども詳しく、アドバイスしています。
月々の返済に不安が残る人は、オンリーホームにお問い合わせください。