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【2024年】住宅ローン金利の今後はどうなる?変動・固定金利の動向を調査
更新日:2024.10.30
この記事では、住宅ローン金利の今後や動向について解説します。
2024年7月31日、日本銀行は政策金利を0.25%程度に引き上げることを発表しました。利上げの発表を受けて、住宅ローン金利の引き上げを決めた金融機関も出てきています。
住宅ローン金利が引き上げられることで、支払総額に発生する影響について知っておきたい人は少なくありません。
この記事では、住宅ローンの変動金利・固定金利が今後どう推移するのかを解説します。住宅ローン金利の動向について詳しく知りたい人、金利上昇リスクを抑えたい人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
- 日銀の利上げで住宅ローン金利の今後はどうなるのか
- 住宅ローン借入中に金利が上昇したときに起こること
- 住宅ローンの金利上昇リスクを抑える対策
住宅ローンの金利に関する基礎知識
住宅を購入する際、多くの人が住宅ローンを利用します。実現可能な返済計画を立てる際に重要なのが、金利に関する知識です。
住宅ローン金利は大きく分けて、変動金利と固定金利の2種類があります。
- 変動金利とは
- 固定金利とは
- 変動金利と固定金利の違い
ここでは、上記3つの内容について解説します。
変動金利とは
変動金利は、市場の金利動向に応じて定期的に金利が変動する仕組みです。多くの金融機関では、短期プライムレートを指標として金利が決定されています。
例えば、これまで日本では低金利が続いてきましたが、将来的に金利が上昇すれば、変動金利も上がる可能性があります。反対に、市場金利が下がれば、それに合わせてローン金利も下がるでしょう。
金利が低い時期に借入すると、返済額を抑えられる可能性が高いのが変動金利の特徴です。
固定金利とは
固定金利は、借入時に設定された金利が一定の期間は変わらないタイプのローンです。固定金利は、10年物国債の金利などに代表される長期金利をベースに決定されます。
固定金利の中でも以下の2つに分かれます。
- 全期間型
- 期間選択型
全期間型は返済が完了するまでのすべての期間で金利が一定です。一方、期間選択型は返済開始から数年〜数十年間は金利が一定で、残りの期間は金利が変動するタイプです。
市場金利が変動しても影響を受けず返済額が一定であるため、長期的な計画を立てやすい特徴があります。
変動金利と固定金利の違い
変動金利と固定金利の違いを表でまとめると、以下のとおりです。
特徴 | メリット | デメリット | |
変動金利 | 市場金利と連動して金利が変動する | ● 固定金利より金利が低い傾向がある
● 市場金利が低い期間が継続すれば返済額が抑えられる |
● 金利上昇リスクがある
● 総返済額が確定せずライフプランが立てにくい |
固定金利 | 借入から一定の期間は金利が固定される | ● 市場金利が上昇しても返済額は増えない
● 返済計画・ライフプランが立てやすい |
● 変動金利より金利が高い傾向にある |
変動金利の場合、市場金利が低い期間が継続すれば総返済額が大きく抑えられる一方で、市場金利が上昇した際の影響にも注意が必要です。
固定金利は市場金利の影響を受けない点では安定した返済が見込める一方で、市場金利が低くなっても恩恵はなく、総返済額も高い傾向にあります。
住宅ローン金利の今後に影響する日銀の金利政策
住宅ローン金利は日本銀行(日銀)の金融政策の影響を受けます。なぜなら、変動金利は短期プライムレート、固定金利は10年物国債の金利をベースとして金利が決定されるからです。
日銀は2016年から、2%の物価上昇という目標を達成することを目的として、短期金利・長期金利ともに量的・質的金融緩和を行ってきました。
具体的には、マイナス金利政策として短期金利を-0.1%にし、長期金利にあたる10年物国債の金利が概ね0%程度で推移するように国債買い入れを行うことです。
10年物国債の金利は、2021年3月以降は±0.25%程度、2022年12月以降は±0.5%程度で推移するようにコントロールされており、その管理を担当していたのも日銀です。
2023年10月には長期金利の上限は1.0%を目途として、厳格なコントロールもなくなりました。長期金利は2021年頃から上昇傾向にあります。
2024年には、物価上昇の目標が達成できる見通しが立ち賃金上昇も見込まれることから、日銀は3月の会合でマイナス金利政策を解除し、短期金利を0.0%〜0.1%程度に誘導することを決定しました。
7月31日には、短期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げることを決定しています。
日銀の金融政策の変更によってそれぞれのベースとなる金利が変動することで、変動金利と固定金利は今後も変化することが予想されます。
※参考1:日銀 金融政策の運用を見直し 長期金利の上限を「1%をめど」|NHK|日本銀行(日銀)
※参考2:【詳しく】日銀 マイナス金利政策を解除 17年ぶり金利引き上げ 異例の金融政策を転換 金融政策決定会合|NHK|日本銀行(日銀)
※参考3:日銀 追加利上げを決定 政策金利を0.25%程度に引き上げ 植田総裁会見詳細も|NHK|日本銀行(日銀)
【2024年】日銀の利上げで住宅ローン金利の今後はどうなる?
ここでは、2024年7月31日に発表された日銀の利上げを踏まえて、今後利上げが行われた際に住宅ローン金利がどのように変化するのかを解説します。
- 変動金利の動向
- 固定金利の動向
順番に見ていきましょう。
変動金利の動向
2024年7月31日に発表された日銀の政策金利引き上げに伴い、多くの金融機関では変動金利を引き上げました。今後、追加利上げが行われれば、変動金利がさらに上昇する可能性は高いといえます。
ただし、日銀が政策金利について話し合った9月の会合では、政策金利は0.25%程度に据え置くことが決定されました。就任直後の石破茂首相も「追加利上げする環境ではない」と発言していることを踏まえると、政策金利の利上げは当面行われにくいといえるでしょう。
このことから、24年7月の利上げを反映した変動金利の上昇が起こったあと、すぐに再度上昇することは考えにくいといえます。
※参考1:日銀 9月会合の主な意見公表 “利上げ 慎重に検討すべき”|NHK|日本銀行(日銀)
※参考2:石破首相「追加利上げの環境にあるとは考えていない」、日銀総裁と面会|ロイター
固定金利の動向
固定金利型の住宅ローンの1つであるフラット35の金利は、これまで以下のように推移してきました。
2019年10月 | 2020年10月 | 2021年10月 | 2022年10月 | 2023年10月 | 2024年10月 | |
最高 | 1.870% | 2.060% | 2.170% | 2.970% | 3.270% | 3.350% |
最低 | 1.110% | 1.300% | 1.300% | 1.420% | 1.880% | 1.820% |
※借入期間21年以上35年以下、融資率が9割以下、新機構団信付きの場合
※参考:【フラット35】借入金利の推移:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】|住宅金融支援機構
これまで日銀が長期金利の上限を引き上げることで、長期金利が上昇してきました。それに伴い、フラット35の金利も上昇傾向にあります。
また、24年7月の会合後、日銀は国債買い入れの減額計画を発表しました。国債買い入れを減額することで長期金利に上昇圧力がかかり、住宅ローンの固定金利も上昇する可能性があります。
これから固定金利で住宅ローンを組む予定の人は、今後の長期金利の動向に注意が必要です。
※参考:日銀 追加利上げを決定 政策金利を0.25%程度に引き上げ 植田総裁会見詳細も|NHK|日本銀行(日銀)
住宅ローン借入中に金利が上昇したときに起こること
ここでは、以下のそれぞれのケースにおいて、住宅ローン借入中に金利が上昇したときに起こることについて解説します。
- 変動金利の場合
- 固定金利の場合
順番に見ていきましょう。
変動金利の場合
変動金利は、半年に一度金利が見直されます。住宅ローン借入中に金利が上昇すると返済額が増加します。変動金利の場合に知っておきたいルールは以下の2つです。
- 5年ルール
- 125%ルール
5年ルールとは、毎月の返済額の見直しが5年ごとであるため、金利が変更された場合でも返済額は次の見直しまで変更されないルールのことです。ただし、返済額は一定でもその元金と利息の内訳は変動する点に注意してください。
125%ルールとは、返済額が見直される際も、前回の返済額の125%を超えない範囲までしか増額されないルールのことです。現在の毎月の返済額が10万円の場合、次回の見直し時に金利が上昇しても、12.5万円を超えることはありません。
固定金利の場合
固定金利の場合、借入時に設定された金利から変わらないため、金利が上昇しても返済額に影響はありません。
市場の長期金利が上昇し続ける局面であっても、固定金利であれば金利が変動しないため、安定して返済を続けられます。
住宅ローンの金利上昇リスクに備える対策
ここでは、住宅ローンの金利上昇リスクに備える対策を解説します。
- 固定金利を選択する
- 繰り上げ返済を視野に入れる
- 借り換えを視野に入れる
順番に見ていきましょう。
固定金利を選択する
金利上昇リスクを避けたい場合、固定金利を選ぶのが対策の1つです。固定金利は、ローンを組んだ時点での金利が一定の返済期間は変わらないため、市場金利が上昇しても返済額が増加することはありません。
毎月同じ金額を返済すればよいので、長期間にわたり安定した返済計画が立てやすくなります。
繰り上げ返済を視野に入れる
将来の金利上昇リスクに備えるためには、繰り上げ返済も視野に入れてみてください。繰り上げ返済とは、毎月の返済額とは別でまとまった金額を一度に返済することです。
余裕があるときに繰り上げ返済を行うことで、元本を減らして総返済額を抑えられます。特に、変動金利で借りている場合は、金利が上がる前にできるだけ返済を進めることで、負担を減らすことが可能です。
繰り上げ返済は、一部もしくは全額手続きすることもできるので、自分に合った方法を選びましょう。
借り換えを視野に入れる
金利上昇リスクを抑えるためには、金利が低い時期に借り換えを検討するのも有効です。借り換えによってより低い金利で新たにローンを組めれば、返済額を減らすことに繋がります。
また、借り換えには手数料などの諸費用がかかります。借り換えによるメリットがどの程度かを事前に確認することが重要です。
住宅ローン金利に関するよくある質問
ここでは、住宅ローン金利に関するよくある質問に回答します。
- 利上げによって変動金利が一気に上がることはある?
- 変動金利はいつになったら下がる?
- 住宅ローンの借り換えで得するタイミングは?
順番に疑問を解消しましょう。
利上げによって変動金利が一気に上がることはある?
変動金利のベースとなる短期プライムレートが急激に変動した場合は、変動金利も大きく上昇する可能性はあります。ただし、変動金利が一気に大きく上昇することは考えにくいでしょう。
なぜなら、日銀は2024年7月に利上げに踏み切りましたが、今後も緩和的な金融環境を維持する方針も示しているからです。また、住宅ローンを提供している金融機関も他の金融機関の状況を見ながら変動金利の引き上げを判断しているため、一気に引き上げることはせず、緩やかに引き上げていくものと考えられます。
変動金利はいつになったら下がる?
変動金利は短期プライムレートをベースとして金融機関によって決定され、経済状況や日銀の政策次第で上下します。特に、インフレや経済成長が落ち着き、日銀が利下げに踏み切った場合には、変動金利も下がる可能性があります。
ただし、具体的な時期を予測するのは困難であるため、現時点での金利動向をよく確認し、長期的な返済計画を立てることが重要です。
金利上昇が見込まれるタイミングでは、すぐに金利が下がるという期待はせず、金利上昇に備えた計画を立てるほうが良いでしょう。
住宅ローンの借り換えで得するタイミングは?
住宅ローンの借り換えで得するタイミングは、主に以下のとおりです。
- 借り換え前後の金利差が1%以上あるとき
- 住宅ローン残高が1,000万円以上で、かつ返済期間が10年以上残っているとき
上記のタイミングを参考にしながら、諸費用を考慮しても得するなら借り換えを行ったほうが良いでしょう。
住宅ローン金利の今後は上昇リスクを考慮することが重要
固定金利は借入したタイミングによって、数年〜数十年や返済完了までなど、一定期間は金利が一定となります。
一方で、変動金利は借入タイミングだけでなく、借入中も一定期間ごとに適用金利が変動します。特に、変動金利で住宅ローンを組む場合は、金利上昇リスクを考慮した上で余裕のある返済計画を立てることがおすすめです。
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毎月の返済額が小さいほど、変動金利が上昇したときの返済負担の増加も少なくなるので、不安を感じることなく住みやすいでしょう。
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