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住宅ローンの連帯保証人とは?必要なケースや立てるリスクも徹底解説

更新日:2024.06.26

この記事では、住宅ローンにおける連帯保証人の概要や役割について解説します。

マイホームを建てたいけれど「住宅ローンは誰かに連帯保証人を依頼しなければならない」と考えて、積極的になれない人も少なくありません。しかし、住宅ローンを単独名義で借入する場合は、ほとんどの金融機関が「連帯保証人は不要」としているのが現状です。

この記事では、連帯保証人が必要になるケースや連帯保証人を立てた場合のリスクについても解説します。連帯保証人が必要になったときの対処法も解説するので、連帯保証人について深く知りたい人はぜひ最後までお読みください。

【この記事でわかること】

  • 住宅ローンの連帯保証人とは何か
  • 住宅ローンを借りる際に連帯保証人は原則不要
  • 住宅ローンを借りる際に連帯保証人が必要になるケース・対処法
  • 住宅ローンで連帯保証人を立てるリスク

住宅ローンの連帯保証人とは?

住宅ローンの連帯保証人とは、主たる住宅ローンの契約者が返済できなくなった際、契約者に代わって返済する義務を担う人のことです。

住宅ローンの連帯保証人については、まず以下の3点をしっかり押さえておきましょう。

  • 連帯保証人の役割
  • 保証人との違い
  • 連帯債務者との違い

それぞれ見ていきましょう。

連帯保証人の役割

連帯保証人の重要な役割は、住宅ローンに対してローン契約者と全く同等の返済義務を負い、契約者が返済できない場合は全額肩代わりすることです。

ローン契約者と同等の責任を負うので、連帯債務者が返済できなくなった場合は資産を差し押さえられることもあります。

また、連帯保証契約は民法に則って取り交わす法律行為であることも認識しておきましょう。

保証人との違い

保証人もローン契約者が返済できなくなった場合に、契約者に代わって返済しなければなりません。連帯保証人との違いは責任の重さの違いで、保証人には以下の3つが認められています。

  • 催告の抗弁権
  • 検索の抗弁権
  • 分別の利益

催告の抗弁権とは、債権者から返済を求められた際に、「先に契約者に払うように伝えてください」と主張できる権利のことです。

【催告の抗弁】

債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

※引用:民法(第四百五十二条)|e-Gov法令検索

また、検索の抗弁権とは、「契約者は支払えるだけの能力や財産を持っているはずであるため、私は支払いません」と主張できる権利のことです。

【検索の抗弁】

債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

※引用:民法(第四百五十三条)|e-Gov法令検索

連帯保証人に、2つの抗弁権はありません。そのため、ローン契約者の滞納により連帯保証人に支払い通知がきた場合は速やかに支払う必要があります。

また、分別の利益とは、1つの債務に対して保証人が複数いる場合、1人の保証人が負担する返済額は等分されるというものです。例えば、2,000万円の返済を求められた際に保証人が5人いれば、1人あたりの返済義務は400万円になります。

連帯保証人は分別の利益が認められておらず、1つの債務に対し連帯保証人が複数いても、それぞれの連帯保証人は債務の全額について責任を負います(※1)。

ただし、連帯保証人であっても自身の負担部分を超えて債務を返済する場合、ほかの連帯保証人にその分を支払うよう請求することも認められています(※2)。

抗弁権がないので、放置していると強制執行されるおそれがある点に注意してください。

※参考1:民法(第四百四十二条)|e-Gov法令検索

※参考2:民法(第四百六十五条)|e-Gov法令検索

連帯債務者との違い

連帯保証人と連帯債務者の違いは、連帯保証人は債務者ではなくローン契約者が返済できない場合に限って返済義務が生じることです。

連帯債務者は1つのローンに対して複数人で返済義務を担うため、返済がスタートして完済するまでのローン全体に対して責任を負わなければなりません。

住宅ローンを借りる際に連帯保証人は原則不要

住宅ローンを借りる際に、多くの金融機関が連帯保証人は原則不要としています。連帯保証人が原則不要になる主な理由は以下の2点です。

  • 金融機関が対象となる土地・建物に抵当権を設定し担保としているから
  • ローン契約者が連帯保証人の代わりに保証会社と保証契約を結ぶようになったから

金融機関は、ローン契約者が債務不履行に陥った際に抵当権を実行して土地・建物を差し押さえられます。また、ローン契約者が返済できなくなった際は、保証会社から返済してもらいます。

しかし、全ての金融機関で連帯保証人が不要であるわけではないため、実際にローン契約する際はしっかり事前チェックしてください。

住宅ローンを借りる際に連帯保証人が必要になるケース

ここでは、住宅ローンを借りる際に連帯保証人が必要になるケースについて解説します。連帯保証人が必要になる主なケースは、以下の4点です。

  • 夫婦や親子でペアローンを組む場合
  • 夫婦や親子で収入合算する場合
  • 物件・土地を共有名義で購入する場合
  • 親名義の土地に家を建てる場合

順に見ていきましょう。

夫婦や親子でペアローンを組む場合

ペアローンとは、マイホームを建てる際に夫婦や親子がそれぞれ独立して住宅ローンを借入する方法です。

住宅ローンの契約は2本となるので、それぞれの契約について住宅ローン控除や団体使用生命保険の保障が適用されます。また、それぞれ独立した金銭消費貸借契約であるため、ペアの分の住宅ローン控除や団体信用生命保険の保障は受けられません。

対象となる物件は1物件であるため、ペアローンの性質上お互いが連帯保証人になることを求める金融機関もあるので事前にチェックしてください。

夫婦や親子で収入合算する場合

収入合算とは、自分のほかに配偶者や親子などの収入を合算して住宅ローンを借入する方法です。借入額が大きくなり、建物の大きさやグレードをアップさせられるため、利用する人も少なくありません。

収入合算の場合は住宅ローン契約が1本となり、収入合算者は連帯保証人になることを求められます。

また、住宅ローン控除も契約者本人にしか適用できないほか、団体信用生命保険も契約者のみの保障に限られます。連帯保証人に障害が生じても保障されないため注意が必要です。

物件・土地を共有名義で購入する場合

共有名義者はローン債務について同等の責任を負うため、ローン契約者を主たる債務名義人、共有者を連帯保証人とする金融機関がほとんどです。

配偶者が両親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けて建築資金の一部に充当した場合など、金額に応じて共有名義にすることを忘れないように注意してください。

全て本人の名義にしてしまうと配偶者の出資分が贈与として扱われ、贈与税の対象になる可能性があります。

上記のケースで配偶者が共有者になった場合も、連帯保証人になる必要があるので、事前によく検討しましょう。

親名義の土地に家を建てる場合

親名義の土地にマイホームを建てる場合は、親が連帯保証人になる必要があります。

通常、金融機関はローン契約の際に対象となる土地・建物には抵当権を設定します。そのため、土地の名義人である親から担保を提供してもらわなければなりません。

返済が滞った場合は、抵当権を実行して土地・建物を差し押さえなければなりません。土地の名義人である親は連帯保証人になる必要があるといえます。

住宅ローンで連帯保証人を立てるリスク

ここでは、住宅ローンで連帯保証人を立てることのリスクについて解説します。

  • 離婚・死亡しても連帯保証人からは逃れられない
  • 連帯保証人は住宅ローン控除が適用されない
  • 契約者が返済不能になったら連帯保証人が大きな負担を負う

1つずつ見ていきましょう。

離婚・死亡しても連帯保証人から逃れられない

配偶者が連帯保証人になっている場合、離婚しても連帯保証人からは外れません。離婚は当人間の民法上の手続であり、金融機関との金銭消費貸借契約には何らの影響も及ぼさないからです。

返済残金がある限り連帯保証人の返済義務は消滅しませんし、ローン契約者が自己破産すると連帯保証人が全て肩代わりしなければなりません。

また、ローン契約者が死亡した場合も連帯保証人から外れることはありません。

連帯保証人は住宅ローン控除が適用されない

連帯保証人は、ローン契約者の代わりに継続してローン返済したとしても住宅ローン控除の特例は適用されません。

住宅ローン控除の特例が適用されるのは、自分名義の住宅ローンを返済している場合に限ります。ただし、ペアローンでパートナーの連帯保証人になっている場合は、自分名義のローン分については住宅ローン控除の対象になります。

契約者が返済不能になったら連帯保証人が大きな負担を負う

ローン契約者が返済不能に陥り自己破産を申告する場合、連帯保証人は大きな負担を負うことになります。対象物件である土地・建物は、ローン契約者が自己破産した時点で抵当権を実行されて差し押さえられてしまいます。

土地・建物を処分しても完済できない場合は、借金を完済するまで連帯保証人が払い続けなければなりません。

住宅ローンの連帯保証人から外れる方法

ここでは、住宅ローンの連帯保証人から外れる方法について解説します。

住宅ローンの連帯保証人から外れる方法として以下の3つの方法が考えられます。ただし、いずれも連帯保証人ではなくローン契約者本人が行動しなければならないことに注意しましょう。

  • 残債を一括返済する
  • 他の住宅ローンに借り換える
  • 家の売却益で返済する

それぞれ見ていきましょう。

残債を一括返済する

ローンの残債をローン契約者が一括で繰り上げ返済できれば、連帯保証人を外せます。

連帯保証人が肩代わりした場合は、借入金の元利金は連帯保証人からの贈与とみなされて贈与税が発生する可能性があるので注意しましょう。

他の住宅ローンに借り換える

別の金融機関と住宅ローン契約を締結して、現在の住宅ローン契約を一括返済することで連帯保証人を外すことが可能です。

ローン契約者にとっても実現しやすい方法であり、連帯保証人からも進言しやすいでしょう。

ただし、既存の契約に未払いや遅延があると新しい住宅ローン契約が成立しづらいので注意してください。

また、借入に必要な手続きを再度行う必要があるほか、諸費用もかかる点も考慮する必要があります。

家の売却益で返済する

残債がまだある状態で家を売却し、売却益で残債を一括返済することで連帯保証人を外すことは不可能ではありません。残債がまだある状態で家を売却することを任意売却といいます。

しかし、連帯保証人を立てている場合、金融機関はわざわざ任意売却に応じるケースは少ないといえます。任意売却の前に、まずは支払い能力のある連帯保証人に返済を求めるでしょう。

任意売却によって連帯保証人を外すことを検討する際は、事前に金融機関としっかり打合せすることをおすすめします。

住宅ローンで連帯保証人が必要になったら

ここでは、住宅ローンで連帯保証人が必要になったときの対処法について解説します。

  • 連帯保証人は誰に頼むべきか
  • 連帯保証人になれない人はいるのか
  • 連帯保証人がいない場合はどうすればよいか

順に見ていきましょう。

連帯保証人は誰に頼むべきか

一般的には、保証料を支払ってローン保証会社に依頼します。

例外的に先述したペアローンや収入合算で連帯保証人を立てる場合は、ほとんど配偶者・親子間で設定します。

住宅ローンのような高額債務の連帯保証を引き受けてもらうためには、相当に親密な関係でなければ難しいことを認識しておきましょう。

連帯保証人になれない人はいるのか

以下に当てはまる人は、連帯保証人になれません。

  • 経営や収入基盤が安定していないとみなされる人
  • 信用情報登録されている、または過去にされた記録がある人
  • 年金を受給している人
  • 頻繁に転職を繰り返している人

共通している点は、継続的で安定した返済財源が見込めないことです。

連帯保証人もローン契約者と同じく安定した給与収入等の返済財源があることが求められるので、注意してください。

連帯保証人がいない場合はどうすればよいか

どうしても連帯保証人が必要であるにもかかわらず、なってくれる人がいない場合は、ローンを組む金融機関に変更することを検討しましょう。

ネット銀行などでは保証会社を利用し、連帯保証人不要の住宅ローン商品を提供している場合もあります。複数の金融機関を比較し、連帯保証人不要のローンを提供するところを探してみるのも1つの方法です。

住宅ローンの連帯保証人に関するよくある質問

ここでは、住宅ローンの連帯保証人に関するよくある質問について解説します。住宅ローンの連帯保証人に関して、よくある質問は以下の通りです。

  • 連帯保証人になると自分のローン審査に影響する?
  • 連帯保証人になれる人について年齢の制限はある?
  • 連帯保証人を外れたいときは誰に相談したらいい?

1つずつ見ていきましょう。

連帯保証人になると自分のローン審査に影響する?

連帯保証人になることで、少なからず自分のローン審査に影響を及ぼすおそれがあります。

連帯保証人は、ローン契約者の返済が滞った際は即座にローン契約者に代わって返済を求められるため、通常の審査よりも厳しい目線で見られます。

ただし、連帯保証人であるとローン審査が必ずしも通らないわけではありません。

連帯保証人になっていること自体、金融機関から一定の返済能力があると判断されている根拠にもなり有利に働く場合もあるので、金融機関と十分に打合せしてください。

連帯保証人になれる人について年齢の制限はある?

厳密な年齢制限が決められているわけではありませんが、高齢者は連帯保証人の対象外となるケースが多くなります。

また、年金受給者は連帯保証人になれません。年金は継続して支払われますが、会社員や公務員の給与と比べると一般的には支給額が低くなるため、連帯保証人には不適とされています。

概ね65歳以上は連帯保証人になれないと考えてよいでしょう。

連帯保証人を外れたいときは誰に相談したらいい?

まずは、ローン契約者が金銭消費貸借契約している金融機関と相談しましょう。

その金融機関とは連帯保証契約を結んでいるはずであるため、連帯保証契約を解除する方法について相談してみてください。

金融機関によっては、担保を追加で設定したり別の連帯保証人を立てたりするなどの方法を提示してくれる可能性もあります。

また、ローン契約者が別の金融機関で借り換えできる場合には、新たにローン契約し直す際に連帯保証人から外してもらうことが可能です。

住宅ローンの連帯保証人は立てる前にリスクを考慮することが重要

住宅ローンの連帯保証人を引き受ける際は、連帯保証人になることによるリスクを事前にしっかりと考慮することが重要です。

連帯保証は明白な法律行為であり、ローン契約者の返済に不備が生じると、ローン契約者と同等の返済義務が連帯保証人に生じます。

主たる債務者であるローン契約者が破産したり、死亡したりしても連帯保証人の返済義務がなくなることはありません。そのため、連帯保証の依頼は基本的にはお断りすることをおすすめします。しかし、依頼の相手が配偶者や親子の場合は、簡単に断るわけにもいかないでしょう。

また、自分が主たる債務者であるローン契約者である場合も、事前に連帯保証について検討しておく必要があります。1人で判断がつかない場合は、経験豊富な建築会社や住宅メーカーに相談してみてください。金融機関ではないので、わからない点や直接金融機関には質問しづらい点も、気軽に相談できるでしょう。

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