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諸費用は住宅ローンに組み込み可能?メリット・デメリットや注意点も解説
更新日:2025.03.28
この記事では、住宅購入時の諸費用はローンに組み込めるのかを解説します。
不動産を購入する際には、物件価格とは別に税金や仲介手数料などの諸費用が発生します。諸費用は一般的に現金で支払いますが、住宅ローンに組み込むことも支払い方法の1つです。
この記事では、住宅ローンに諸費用を組み込むメリットとデメリットを解説します。組み込みできる銀行や注意点にも触れるので、住宅の購入を検討している人はぜひこの記事を参考にしてください。
【この記事でわかること】
- そもそも住宅ローンの諸費用とは?
- 住宅ローンに諸費用は組み込みできるのか
- 住宅ローンの諸費用を支払う方法
- 住宅ローンに諸費用を組み込みするメリット・デメリット
- 住宅ローンに諸費用を組み込みできる銀行一覧
- 住宅ローンに諸費用を組み込みするときの注意点
そもそも住宅ローンの諸費用とは?
住宅を購入する際には、物件価格以外にもさまざまな費用が発生します。これらの費用は諸費用と呼ばれ、注文住宅と建売住宅では以下のものが該当します。
諸費用の内容 | 費用の種類 | 概要 |
税金 | 印紙税 | 契約金額によって異なり、契約書に貼付する |
固定資産税等清算金 | 土地の引渡し時に清算する | |
不動産取得税 | 不動産を取得した翌年に評価額の3%が課される税金 | |
登録免許税 | 所有権の移転や抵当権の設定する税金 | |
消費税 | 注文住宅の建物や建売住宅の本体にかかる税金 | |
金融機関 | 事務手数料と保証料 | 2つを合算して借入額の2.2%になるケースが多いが、申請者によって大きく異なる |
保険 | 火災保険料・地震保険料 | 建物にかかる保険料で、高性能住宅になればなるほど安くなる傾向にある |
団体信用生命保険 | 金利に含んで支払うケースが多い | |
その他 | 手付金 | 売買契約や請負契約時に支払う費用 |
仲介手数料 | 契約成立時に不動産会社へ支払う報酬で、売買代金によって異なる | |
地鎮祭にかかる費用 | 注文住宅の着工前に実施する祈祷にかかる費用で、5〜10万円が相場 | |
家電購入費や引越費用 | ライフスタイルや移住先によって異なる |
なお、諸費用の合計は、住宅購入にかかる費用全体のうち1割前後になることが一般的です。
支払うタイミングに資金が足りないなどの事態にならないように、諸費用の内訳について十分に把握しておきましょう。
住宅ローンに諸費用は組み込みできるのか
結論として、一部の諸費用は住宅ローンへの組み込みが可能です。ただし、組み込みができない費用項目もあります。
そもそも、住宅ローンは不動産の引渡し時に実行されるため、その前後に発生する諸費用の支払いには対応できないケースが多くあります。不動産の契約時や不動産購入後などに支払う以下の費用項目は、ローンに組み込めないケースが一般的です。
- 印紙税
- 手付金
- 不動産取得税
- 家電
- 引越し費用
一方、住宅ローンの事務手数料や保証料、固定資産税等清算金や保険関係など、不動産の引渡し時に発生する費用はローンへの組み込みが可能になるケースが多くあります。
住宅ローンの諸費用を支払う方法
ここでは、住宅ローンの諸費用を支払う以下3つの方法を解説します。
- 自己資金から支払う
- 諸費用ローンを組む
- 住宅ローンに組み込む
自己資金から支払う
諸費用の支払い方法として最も一般的なのが、自己資金を用いて支払う方法です。住宅ローンの総支払額や月々の返済額を抑えられ、将来的な経済的負担を軽減できます。
ただし、貯金が少ない状態で自己資金を使用してしまうと、家計を圧迫して不安を感じる新生活になってしまうおそれがあるため、注意しましょう。
諸費用ローンを組む
住宅ローンの諸費用を支払う方法として、諸費用ローンの契約が挙げられます。諸費用ローンは住宅ローンとは別途に契約するローンのことで、自己資金が不足しているときに諸費用を賄う手段として活用できます。
ただし、取り扱いがない金融機関があるほか、住宅ローンに比べて金利が高いため、利用する際は十分に検討しましょう。
住宅ローンに組み込む
自己資金で諸費用を賄う予定がない場合、一部を住宅ローンに組み込むことが可能です。住宅ローンは他のローン商品と比較して金利が低く、諸費用ローンや消費者金融のフリーローンなどと比較して総返済額を抑えられます。
ただし、金融機関によっては諸費用を一切住宅ローンに組み込めない場合があるため、事前に確認しておきましょう。
住宅ローンに諸費用を組み込みするメリット
ここでは、住宅ローンに諸費用を組み込むメリットを解説します。
- 初期費用の負担を軽減できる
- 毎月の返済額を抑えられるケースがある
- 諸費用が住宅ローン控除の対象になる
- 返済を一本化できる
初期費用の負担を軽減できる
諸費用を住宅ローンに組み込むと、自己資金を大きく減らすことなく住宅を購入できます。手元の資金を、家財の購入費用や子どもの養育費用など、他の用途に活用できるでしょう。
マイホームを購入してすぐの経済的負担軽減にも繋がります。
毎月の返済額を抑えられるケースがある
住宅ローンは他のローン商品に比べて、低金利、かつ長期間での返済が可能です。そのため、金利が高い諸費用ローンを活用するよりも毎月の返済額を抑えられる場合があります。
例えば、本体価格3,000万円の住宅を購入して諸費用が300万円の場合、毎月の支払い額は以下のようになります。
【条件】
● 住宅ローン ○ 金利:1% ○ 返済期間:35年間 ● 諸費用ローン ○ 金利:3.5% ○ 返済期間:5年間 |
ケース | 毎月返済額 |
諸費用を住宅ローンに組み込む | 9万3,154円 |
住宅ローンと諸費用ローンを別々に支払う | 13万9,260円 |
上記の場合、住宅ローンに諸費用を組み込んだほうが月々の支払額を4万円以上抑えられます。
ただし、一概に返済額を抑えられるとは断定できないため、事前にシミュレーションをしておくことが大切です。
諸費用が住宅ローン控除の対象になる
住宅ローン控除とは、年末時点でのローン残高に応じて一定額が所得税や住民税から控除される制度です。諸費用を住宅ローンに組み込むと、控除で受けられる還付金が多くなるでしょう。
ただし、2024年以降新築で住宅ローン控除を利用する場合には、該当の住宅が省エネ性能を有している必要があります。
※参考:住宅ローン減税丨国土交通省
返済を一本化できる
住宅ローンと合わせて諸費用ローンやフリーローンなどを借り入れた場合、返済の管理負担が大きくなるでしょう。諸費用を住宅ローンに組み込んで1本化することで、返済管理を容易にして支払い忘れなどのリスクを軽減できます。
返済先が1つになるので、利息負担を抑えることにも繋がります。
住宅ローンに諸費用を組み込みするデメリット
諸費用を住宅ローンに組み込むことには、以下2点のようなデメリットもあります。
- 毎月の返済額が高くなるケースがある
- 総返済額が高くなる
毎月の返済額が高くなるケースがある
住宅ローンは諸費用ローンに比べて低金利ですが、借り入れプランによっては諸費用ローンを活用するほうが、毎月の返済額を軽減できる場合があります。
たとえば、前述した条件と同様に本体価格3,000万円、諸費用300万円でローンを組む場合、以下の返済額となります。
【条件】
● 住宅ローン ○ 金利:1% ○ 返済期間:35年間 ● 諸費用ローン ○ 金利:3.5% ○ 返済期間:5年間 |
ケース | 毎月返済額(6年目まで) | 毎月返済額(6年目以降) |
諸費用を住宅ローンに組み込む | 9万3,154円 | 8万4,685円 |
住宅ローンと諸費用ローンを別々に支払う | 13万9,260円 | |
自己資金で諸費用を賄う | 8万4,685円 |
上記のように、月々の支払い額に1万円程度の差が発生します。
総返済額が高くなる
毎月の返済額が変動すると、総返済額にも大きく影響します。前述した例で総返済額を比較すると、以下の通りです。
ケース | 毎月返済額 |
諸費用を住宅ローンに組み込む | 3,912万4,566円 |
住宅ローンと諸費用ローンを別々に支払う | 3,884万2,286円 |
上記の場合、住宅ローンに諸費用を組み込むと総返済額が30万円ほど高くなります。
住宅ローンの返済額をなるべく抑えたい人にとって、諸費用をローンに組み込むことにデメリットを感じる場合があるでしょう。
住宅ローンに諸費用を組み込みできる銀行一覧
ここでは、住宅ローンに諸費用を組み込める銀行として以下3点を解説します。
- SBI新生銀行
- 住信SBIネット銀行
- auじぶん銀行
SBI新生銀行
SBI新生銀行は、借入金利が低く保証料がかからない点で人気がある金融機関です。以下の諸費用をローンに組み込めます。
金融機関名 | ● SBI新生銀行 |
借入金利 | ● 0.410%(変動金利) |
事務手数料 | ● 借入額の2.2% |
保証料 | ● 不要 |
組み込める諸費用 | ● 住宅購入資金の借り入れにかかる手数料
● 仲介手数料 ● 各種税金 ● 火災・地震保険料 ● 修繕積立金 ● 管理準備金 ● 上下水道加入負担金 など |
※2025年3月時点
※参考1:住宅ローンの金利一覧 新規でお借り入れの方丨SBI新生銀行
※参考3:お客様ご説明資料丨SBI新生銀行
組み込める諸費用の項目が多いため、なるべくローンと合わせて一本化したい人におすすめです。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行の特徴の1つは、団体信用生命保険に全疾病型がある点です。
通常の団信は債務者の死亡、もしくは重大な障害状態が適用条件ですが、全疾病型はどのような病気にかかっても適用されるため、病気による返済への不安を軽減できます。
金融機関名 | ● 住信SBIネット銀行 |
借入金利 | ● 0.448%〜(変動金利) |
事務手数料 | ● 借入額の2.2% |
保証料 | ● 不要 |
組み込める諸費用 | ● 印紙代
● 登記費用 ● 火災保険料 |
※2025年3月時点
※参考1:金利一覧丨住信SBIネット銀行
※参考2:住宅ローン丨住信SBIネット銀行
※参考3:手数料・諸費用丨住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行は繰り上げ返済にかかる手数料が不要であるため、返済計画を変更しやすい点が特徴です。
auじぶん銀行
auじぶん銀行はネット銀行の中でも老舗の金融機関といえます。詳細は以下の通りです。
金融機関名 | ● auじぶん銀行 |
借入金利 | ● 0.344%〜(変動金利) |
事務手数料 | ● 借入額の2.2% |
保証料 | ● 不要 |
組み込める諸費用 | ● 印紙税
● 火災・地震保険料 ● 不動産仲介手数料 ● 引越し費用 など |
※2025年3月時点
金利の低さに加えて、団体信用生命保険の選べるプランも多いのが特徴です。
住宅ローンに諸費用を組み込みするときの注意点
ここでは、住宅ローンに諸費用を組み込む際の注意点として、以下5点を見ていきましょう。
- 組み込める項目とできない項目がある
- 金融機関によっては諸費用を組み込めない場合がある
- 諸費用に手数料を含めている銀行がある
- 審査が厳しくなることがある
- 金利が高い場合がある
組み込める項目とできない項目がある
先述の通り、諸費用の中にはローンに組み込める項目と組み込めない項目があります。金融機関によって異なりますが、一般的には以下のようになります。
一般的に組み込める項目 | ● 固定資産税等清算金
● 登録免許税 ● 消費税 ● 仲介手数料 ● 火災・地震保険料 ● 団体信用生命保険料 ● 住宅ローン事務手数料 ● 保証料 |
一般的に組み込めない項目 | ● 手付金(契約金)
● 印紙税 ● 地鎮祭の費用 ● 家電や家具の購入費用 ● 引越し費用 |
組み込めない項目は諸費用ローンなどを利用するか自己資金で賄うかになるため、事前に費用を調べておきましょう。
金融機関によっては諸費用を組み込めない場合がある
金融機関によっては、諸費用をローンに組み込めない場合があります。これは、住宅ローンの借入対象に諸費用を含めていないためです。
諸費用をローンに組み込みたい場合、なるべく早い段階で金融機関に相談しましょう。
諸費用に手数料を含めている銀行がある
金融機関によって、諸費用を住宅ローンに組み込む際に手数料がかかることがあります。事前の計算よりも借入総額が高くなることがあるため、注意しましょう。
また、金融機関の条件は予め詳細までチェックしておくことが大切です。
審査が厳しくなることがある
諸費用を住宅ローンに組み込むと、借入額が増加します。
その結果、年収に対する借入額の割合が大きいなどの理由から、審査に通らなくなるおそれがあります。特に、借入額が物件価格を超える場合、審査基準は厳しくなるでしょう。
金利が高い場合がある
諸費用を組み込むと、金利が高く設定される場合があります。総返済額が増加するおそれがあるため、金利条件を十分に確認することが重要です。
また、利用を検討している金融機関があれば、事前に諸費用を組み込むケースと組み込めないケースでシミュレーションしておくことをおすすめします。
住宅ローンの諸費用組み込みに関するよくある質問
ここでは、住宅ローンの諸費用組み込みに関してよくある質問に回答します。
- 住宅ローンの諸費用はいつ支払う?
- 住宅ローンの諸費用が払えないときはどうすればいい?
- 諸費用が高くてもフルローンで組むべき?
住宅ローンの諸費用はいつ支払う?
諸費用を支払う時期は、項目によって大きく異なります。以下の表にまとめたので、確認しましょう。
諸費用項目 | 支払い時期 |
印紙税 | ● 不動産売買契約締結時
● 請負契約締結時 ● 金融機関との住宅ローン契約締結時 |
手付金 | ● 不動産売買契約締結時
● 請負契約締結時 |
固定資産税等清算金 | 引渡し時 |
登録免許税 | |
消費税 | |
団体信用生命保険 | |
住宅ローン事務手数料 | |
保証料 | |
火災・地震保険料 | 保険開始日の翌月 |
地鎮祭 | 祈祷終了後 |
家財購入費 | 即金 |
引越し費用 | 即金 |
資金が足りない事態にならないように、各諸費用を支払う時期をしっかりと確認しましょう。
住宅ローンの諸費用が払えないときはどうすればいい?
住宅ローンの諸費用を払わなければ家づくりを進められないため、まずはハウスメーカーや工務店に相談して資金計画に影響しない方法で費用を準備しましょう。
方法の1つとして、ハウスメーカーや工務店が用意する総予算に諸費用枠を設け、住宅ローンに組み込む方法があります。自己資金で賄うのであれば、ファイナンシャルプランナーにライフプランの作成を依頼する方法がおすすめです。
諸費用が高くてもフルローンで組むべき?
フルローンとは、頭金を支払わずに物件価格全額をローンで賄う方法のことです。
フルローンのメリットとして、自己資金が少なくても物件を購入できる点が挙げられますが、後々の返済額が増加するため、家計を大きく圧迫することになります。また、借入額が大きいとローン審査が厳しくなり、審査に通らないおそれが考えられます。
住宅ローンの諸費用組み込みはメリット・デメリットを比較して判断しよう
この記事では、住宅ローンに諸費用を組み込めるのか解説しました。
一部の諸費用項目については、住宅ローンへの組み込みが可能です。ただし、組み込みの可否や組み込める費用項目は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、諸費用を支払わなければ家づくりを始められません。ハウスメーカーや工務店に相談しながら、諸費用を支払う方法を見つけることが必要です。
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