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住宅ローン減税とふるさと納税は併用できる?計算方法と注意点を解説
更新日:2022.04.25
住宅ローン減税とふるさと納税による税額控除のいずれかを利用しているケースでは、併用する時の控除額がどうなるかが気になるポイントです。
特に、これからマイホームの購入を検討する方にとって控除額の増減は、大きな問題といえるでしょう。
そこで今回は、住宅ローン減税とふるさと納税の併用ができるかどうかについて解説していきます。計算方法や利用時の注意点も紹介していますので、ぜひとも最後までお付き合い下さい。
目次
住宅ローン減税(控除)とふるさと納税の概要
いずれも馴染みの深い制度であり、利用者に大きなメリットのある制度です。どちらか一方、もしくは両方とも利用している方も多いのではないでしょうか。
利用したことがない方は制度の概要を把握して、ぜひとも利用を検討して下さい。
・住宅ローン減税(控除)とは?
・ふるさと納税とは?
順番に見ていきましょう。
住宅ローン減税(控除)とは?
住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用して住宅を購入する方に対して税金の控除を行う措置です。具体的には、ローン開始から10年間、ローン残高の1%が所得税、および住民税から控除され、住宅性能・省エネ性能が高い認定住宅ほど控除が優遇される傾向にあります。
税制改正により、建築のタイミングで控除率や控除期間が変わることに注意が必要です。適用要件を含めた詳細につきましては、国税庁ホームページをご確認下さい。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、地方創生を目的とした寄付金税制のことです。制度の建て付けとして、寄付金の一部を所得税、および住民税から控除する仕組みとなります。
具体例を挙げると、年収700万円の給与所得者の方で扶養家族が配偶者のみの場合、30,000円のふるさと納税を行うと、自己負担分の2,000円を除いた28,000円が所得税と住民税から控除される計算です。
住宅ローン減税とふるさと納税は併用できる?
現在、ふるさと納税を利用しており、これからマイホームの購入を考えている方にとって、住宅ローン減税の併用ができるかどうかは大きな問題です。
家計にゆとりを持たせるためにも、使える制度は最大限利用するべきでしょう。
結論:併用できる
結論から申し上げますと、住宅ローン減税とふるさと納税は併用可能です。
注意点として、住宅ローン減税の有無によってふるさと納税の控除額が減ってしまう可能性があります。
ふるさと納税の控除を上限まで利用したいと考えている方は、あらかじめ住宅ローン控除を加味してシミュレーションしておくとよいでしょう。
ふるさと納税の控除手続き方法
ふるさと納税の控除手続きの方法は二通りに分類されますが、住宅ローン控除1年目は確定申告が必要となります。
したがって、ふるさと納税を併用する場合についても、確定申告が必要であることに注意しておきましょう。
・確定申告での手続き
・ワンストップ特例制度での手続き
順番に解説します。
確定申告での手続き
給与所得者には馴染みがありませんが、一つ目は確定申告で控除を受ける方法です。
手続きの流れとしては、寄付を行った翌年の2月〜3月に確定申告をして、5月前後に所得税の還付を受け、6月より住民税の控除が受けられます。
手間に感じるかもしれませんが、マイナンバーカードがあれば、e-taxを利用して自宅からスムーズな手続きが可能です。
ワンストップ特例制度での手続き
二つ目の手続き方法は、ワンストップ特例制度を用いることです。
ワンストップ特例制度は、確定申告を用いなくても寄付金控除が受けられる仕組みであり、給与所得者にとって多くのメリットがあります。
手続き方法は必要書類を郵送で送るだけですが、もともと確定申告をする必要がない給与所得者であり、年間寄付先が5自治体以内という要件を満たしておかなければなりません。
具体的には、副業で20万円超の収入のあるサラリーマンの方などは対象外です。
ふるさと納税と住宅ローン控除併用時の計算方法
ふるさと納税と住宅ローン控除併用時の計算方法を手続き方法ごとにまとめていますので、それぞれの違いを把握しておきましょう。
・確定申告での計算方法
・ワンストップ特例制度での計算方法
順番に解説します。
確定申告での計算方法
所得税からの控除=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率
※控除上限は総所得額等の40%
住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
※控除上限は総所得金額等の30%
住民税からの控除(特別分)=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税率)
※控除上限は住民税所得割額の20%
上記の計算式で控除金額の目安が算出できますが、具体的な計算については、お住まいの市区町村へ問い合わせることをおすすめします。
ワンストップ特例制度での計算方法
住民税からの控除額=基礎控除額+特例控除額+申告特例控除額※1
※1申告特例控除額=特例控除額×規定割合×控除割合
ワンストップ特例控除制度であっても、控除上限額に達しない限り控除額に差はありません。
注意点として、所得税からの控除ではなく住民税のみからの控除であることを覚えておきましょう。つまり、住宅ローン残高次第ではワンストップ特例制度を利用した方がお得になるケースがあります。
住宅ローン控除とふるさと納税の併用のポイント・注意点
住宅ローン控除とふるさと納税の併用時に気を付けておきたいポイントと注意点をまとめていますので、自分たちの状況を踏まえながら、適切な対応がとれるようにしておきましょう。
・ワンストップ特例制度なら気にせず利用可能
・ただし、ワンストップ特例制度は住宅ローン2年目から
・それ以外はシミュレーションを利用
順番に解説します。
ワンストップ特例制度なら気にせず利用可能
ワンストップ特例制度なら細かい部分を気にせずに利用ができますので、住宅ローン控除2年目以降の給与所得者の方におすすめの制度です。
ただし、申請要件を満たす必要はありますので、副業収入のあるサラリーマンの方や、たくさんの自治体に寄付をしたいと考えている方はどちらを優先するのかをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
ただし、ワンストップ特例制度は住宅ローン2年目から
これまでふるさと納税でワンストップ特例制度を利用していた方も、住宅ローン控除1年目は確定申告をしなければいけないことは先に述べた通りです。住宅ローン控除2年目以降は改めて利用できますので、できるだけ手間を減らしましょう。
サラリーマンにとって確定申告は敷居が高く、有料の会計ソフトは便利であるものの、費用がもったいないです。できるだけ手間を省き、控除の恩恵にあずかりましょう。
それ以外はシミュレーションを利用
ふるさと納税では所得税・住民税それぞれに控除上限額が設定されていますので、ふるさと納税に充てる金額は、シミュレーションを利用して決定しましょう。
年収や家族構成により控除上限額は異なりますので、住宅ローンの借入金額を想定しながら、自分たちに最適な金額を把握して下さい。
併用している方の年収別モデルケース
住宅ローン控除とふるさと納税を併用している方の年収別モデルケースをまとめています。マイホーム購入を検討中の方は、自分たちの状況に置き換えて考えてみましょう。
・年収400万で住宅ローン控除20万円の共働き世帯
・年収700万で住宅ローン控除40万円の子持ち世帯
順番に解説します。
年収400万で住宅ローン控除20万円の共働き世帯
項目 | 所得税(万円) | 住民税(万円) |
---|---|---|
給与所得 | 2,760,000 | 2,760,000 |
配偶者控除 | 380,000 | 330,000 |
社会保険料控除 | 580,000 | 580,000 |
基礎控除 | 480,000 | 430,000 |
所得控除の合計 | 1,440,000 | 1,340,000 |
課税総所得金額 | 1,320,000 | 1,420,000 |
上記に対する税額 | 66,000 | ー |
住宅ローン控除後所得税額 | 0 | ー |
算出所得割額 | ー | 137,000 |
上記のケースでは、控除上限目安金額は約34,000円となります。寄付金額を30,000円とした場合、寄附金税額控除は26,571円となり、寄付金適用後の住民税所得割額は110,300円です。
住宅ローン減税で所得税負担が軽減され、実質2,000円の負担で寄付額相当の返礼品を受け取れますので、お得な制度であることが分かります。
年収700万で住宅ローン控除40万円の子持ち世帯
項目 | 所得税(万円) | 住民税(万円) |
---|---|---|
給与所得 | 5,200,000 | 5,200,000 |
配偶者控除 | 380,000 | 330,000 |
扶養控除 | 380,000 | 330,000 |
社会保険料控除 | 1,010,000 | 1,010,000 |
基礎控除 | 480,000 | 430,000 |
所得控除の合計 | 2,250,000 | 2,100,000 |
課税総所得金額 | 2,950,000 | 3,100,000 |
上記に対する税額 | 197,500 | ー |
住宅ローン控除後所得税額 | 0 | ー |
算出所得割額 | ー | 307,500 |
※夫婦二人子供一人(高校生)で算出
上記のケースでは、控除上限目安金額は約79,000円となります。寄付金額を70,000円とした場合、寄付金税額控除は61,057円となり、寄付金適用後の住民税所得割額は246,300円です。
年収400万円のケース同様に併用のメリットがあるものの、住宅ローン減税については、住宅性能・省エネ性能の優れた認定住宅のみの優遇が続きますので、購入する住宅の見極めが負担割合を変えることを覚えておきましょう。
まとめ
ここまで、住宅ローン減税とふるさと納税の併用について解説してきました。それぞれの制度は利用者にとってメリットがありますので、家計の負担を減らすためにも、最大限利用して下さい。
制度を利用する上で、気を付けておかなければならないことは、住宅を購入するタイミングによって、適用要件や内容が変わる点にあります。
特に、住宅ローン減税の適用については、住宅性能や契約のタイミングに注意しなければなりません。不明な点は建築会社に確認して、最大限メリットを受けられるように、家づくりを進めていきましょう。
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家づくりのことだけでなく、住宅ローン減税など制度面に不安なことがある方も、お気軽に個別相談会へ足をお運び下さいませ。