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賃貸と持ち家はどちらがお得になるの?コストやメリットから両者を比較
更新日:2020.08.26
終身雇用制度が崩壊し、収入がなかなか増えずに晩婚化も進む現代日本では、「ローンを組んで家を買う」という行為のリスクが高まっています。
そのため、多くの人は気軽に家を買うことができません。そこで気になってくるのが、「一生暮らしていくなら賃貸と持ち家どちらの方がお得なのか」という問題です。
そこで今回は、賃貸と持ち家それぞれのメリットとデメリット、生涯コストを通じて、どちらのほうがお得なのかを比較していきます。
持ち家と賃貸のメリット比較
まずは、持ち家と賃貸それぞれのメリットを比べてみましょう。
持ち家にはどんなメリットがある?
持ち家のメリットは、何といっても持ち家という資産が手に入ることです。持ち家は自分の所有物なので、法律の範囲内なら好きなようにリフォームや増築をすることができますし、将来的に相続財産として自分の配偶者や子どもに残すこともできます。また、住宅ローンを組むときは、「契約者の死亡時」などでお金が下りる生命保険に加入するので、「自分に何かあったとしても家族に家を残せる」点もメリットです。
また、ローンを完済してしまえば、住宅のメンテナンス費用と固定資産税・都市計画税といった税金だけで住まいを維持できるので、老後リタイアした後に家賃の心配をしなくて良いという強みもあります。持ち家を購入すれば、固定資産税の軽減や住宅ローン減税、すまい給付金といった住宅購入支援制度も利用可能です。
賃貸にはどんなメリットがある?
一方、賃貸には以下のようなメリットがあります。
・ローンを組む必要がない
・気分や収入の上下に合わせて住まいを変えられる
・定期的に引っ越せば常に築浅物件で過ごすことが可能
・近隣住民や周辺環境に問題がある場合も引っ越せば自衛できる
・固定資産税などがかからない
・備え付けの設備や住まいの修理を大家に任せられる
持ち家と賃貸の違いは、賃貸なら「ローン不要」で住めることと、必要に応じて引っ越しができること。持ち家は非常に高額な資産なので、住宅ローンを組んで購入する必要があります。住宅ローンを組むためには、収入や職業などの審査も必須なので、誰もが簡単にローンを組んで持ち家を持てるわけではありません。しかし、賃貸物件なら、入居時の審査をクリアすれば入居できます。収入が不安定だったり、将来の収入を維持できるかわからなかったりする場合でも、敷金・礼金・家賃と引っ越し費用さえあれば入居できるので、初期費用もさほどかかりません。
また、賃貸だと収入に応じた住まいを選べます。隣人トラブルに巻き込まれても、災害等で家が倒壊しても、引っ越しさえすれば安全な暮らしを手に入れることが可能です。
持ち家と賃貸のデメリット比較
持ち家と賃貸を比べた場合、持ち家は引っ越しの自由がなく、賃貸は将来の保証がありません。どちらを取るかでライフプランが大きく変わってくるので、両者のデメリットも理解しておきましょう。
持ち家にはどんなデメリットがある?
持ち家のデメリットは、
・一度家を買うと気軽に引っ越せない
・数十年間ローンの返済が必要になる
・ローンを滞納すると持ち家を差し押さえられてしまう
・住まいのメンテナンスや補修費用はすべて自分持ち
・ローンの金利・固定資産税・各種手数料などがかかる
ことです。
基本的に、持ち家を買うと気軽に引っ越すことができません。転職したり、遠隔地への辞令を出されたりした場合、「引っ越せない」ことは大きなデメリットとなるでしょう。持ち家に長く住むなら定期的な外壁の再塗装や水回りの入れ替え等も必要になりますし、補修費用は自分で積み立てておく必要があるため、費用負担も小さくはありません。
また、持ち家の場合はローンの負担も大きいです。もしローンの返済を滞納した場合、1,000万円以上かけて手に入れた住まいを差し押さえられ、退去することになってしまいます。不景気が続く現代においては、将来的に昇給したり現在の職を続けていたりする保証がないため、ローンを組むこと自体が大きなデメリットです。
賃貸にはどんなデメリットがある?
賃貸は、以下のようなデメリットを持っています。
・自由にリフォーム等ができない
・好みの間取りや広さの家を選ぶのが難しい
・部屋を借りている限り一生家賃がかかる
・仕事を辞めたり老後になったりすると入居時の審査に通らない
特に問題となってくるのが、老後のリスクです。賃貸住宅の審査もローンの審査も、基本的に「今後継続的に収入がある」ことが前提となっています。病気や事故で働けなくなったり、年金生活を始めたりした場合、引っ越ししたくても引っ越せなくなる可能性が高いです。住まいが老朽化しても、次の住居を見つけられないのは大きなデメリットといって良いでしょう。
また、立地にもよりますが、住居費として支払う金額が同じなら、持ち家の方が広い家に住むことができます。広くてファミリー向けのマンションは家賃が高く、賃貸の一戸建ては数が限られるので、一戸建てで伸び伸びと暮らしたい場合は持ち家の方がお得です。
持ち家と賃貸の生涯コスト比較
最後に、持ち家と賃貸の生涯コストを比較してみましょう。
持ち家を購入すると一生でいくらかかる?
持ち家を購入する場合、「住宅ローンの元金」や「金利」以外に、「各種手数料」「メンテナンス費用」「税金」を負担する必要があります。仮に、土地建物込みで2,600万円の新居を年利1.56%の固定金利・35年ローンで購入した場合、完済までに支払う金額は「3,376万円」です。そのほか、仲介手数料や登記関連の費用、火災保険の保険料にローン契約時の手数料などを合わせると、不動産購入費の5%から10%程度の費用がかかります。
また、持ち家に50年住むとして、1年あたりの固定資産税が10万円だと考えた場合、建物の経年劣化込みでも固定資産税は500万円。定期メンテナンスやリフォーム費用として毎月1万円ずつ積み立てると、50年間で修繕・リフォーム費用は600万円なので、持ち家の生涯コストは4,606万円です。
一生賃貸だといくらかかる?
上記の条件だと、ローンの返済額は月々、約8万円となります。比較を簡単にするため、管理費等も込みの家賃を8万円だとした場合、50年間賃貸で暮らすための家賃は4,800万円です。実際には、ここに敷金や礼金、引越し費用等もかかるので、5,000万円近い出費が必要になるでしょう。
もちろん、家賃の安い賃貸を選べば、ある程度の節約も可能です。しかし、多くの場合、持ち家を手に入れるタイミングが早ければ早いほど、広くて快適な住まいに長く住むことができます。
持ち家は売れば現金を手に入れられる
賃貸ではなく持ち家をおすすめする理由として大きいのが、資産性の高さです。いくらお金を払っても自分のものにならない賃貸物件と違って、持ち家はいざというとき売却して現金化できます。
また、不動産は相続財産としてもお得です。所有している資産の総額が同じでも、不動産の割合が多いと相続時の税負担を抑えられます。
まとめ
賃貸と持ち家を比較した場合、持ち家の方が保証も手厚く、生涯コストも安いです。賃貸で暮らす期間が長くなればなるほど生涯の住居費も高くなっていくので、一箇所に定住できる場合は、持ち家の購入をおすすめします。
ただし、一口に持ち家といっても、新築か中古か、建売か注文住宅かによっても暮らしやすさは別物です。住まいに対する理想は人それぞれなので、新居について悩んだときは、よりストレスなく快適に暮らせる選択肢を考えましょう。