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住宅ローン控除はふるさと納税と併用可能?注意点やシミュレーションも

更新日:2024.07.31

この記事では、住宅ローン控除とふるさと納税の併用について解説します。

住宅ローン控除は、ふるさと納税をはじめとした他の制度と併用できますが、あらかじめ特例や注意点を把握しておくことが大切です。

この記事では、住宅ローンとふるさと納税の基礎知識や併用する際に押さえておくべき注意点を解説します。併用のシミュレーションも行うので、住宅ローン控除の利用を検討している人はぜひこの記事を参考にしてください。

【この記事でわかること】

  • 住宅ローン控除とふるさと納税に関する基礎知識
  • 住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能
  • 住宅ローン控除とふるさと納税の併用をシミュレーション
  • 住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際の注意点
  • 住宅ローン控除と併用できるその他の控除
  • ふるさと納税と控除制度の関係性

住宅ローン控除とふるさと納税に関する基礎知識

まずは、以下2つの税制度に関する基礎知識を確認しておきましょう。

  • 住宅ローン控除とは
  • ふるさと納税とは

順番に解説します。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(減税)は、名前の通り住宅ローンを利用して住宅を購入した人が受けられる税額控除です。

所得税から、年末のローン残高の0.7%が最大13年間控除されます。所得税から控除しきれなかった分は翌年の住民税から控除されますが、その場合は原則として9万7,500円、一定の場合には13万6,500円が上限と定められています。

令和6〜7年に住宅ローン控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

● 自身が居住するための住宅

● 合計所得金額が2,000万円以下

● 住宅ローンの借入期間が10年以上

● 工事完了から6ヶ月以内に入居(既存住宅の場合は取得から6ヶ月以内)

● 現行の耐震基準を満たしている

※参考:住宅ローン減税丨国土交通省

加えて、住宅の環境性能によって借入限度額の要件が異なるので確認しましょう。

住宅の環境性能など 借入限度額 控除期間 床面積要件
令和6年入居 令和7年入居
新築住宅 長期優良住宅・低炭素住宅 ● 子育て世帯・若者夫婦世帯:5,000万円

● その他の世帯:4,500万円

4,500万円 13年間 50㎡
ZEH水準省エネ住宅 ● 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,500万円

● その他の世帯:4,000万円

3,500万円
省エネ基準適合住宅 ● 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,000万円

● その他の世帯:3,500万円

3,000万円
その他の住宅 0円
中古住宅 長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅 3,000万円 10年間
その他の住宅 2,000万円

※参考:住宅ローン減税丨国土交通省

※床面積は新築住宅で合計所得金額が1,000万円以下の年分に限り、40㎡以上50㎡未満でも可 (令和6年末まで)

令和6年1月から省エネ基準に適合していない住宅は、住宅ローン控除の対象外となります。これから新築住宅を建築する人で控除の利用を考えている場合は、省エネ基準を満たしているか施工会社と十分に話し合いましょう。

ふるさと納税とは

ふるさと納税は、選んだ地方自治体に寄付を行うことで、寄付金から自己負担額2,000円を引いた金額が所得税および住民税から控除される制度です。寄付を行うと選んだ自治体から地域の特産品などが返礼品として受け取れることがあり、近年多くの人が利用している制度です。

控除を受けるには、ふるさと納税を行った翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があります。寄付を証明する受領書を添付することで、ふるさと納税を利用した年の所得税と翌年分の住民税から控除されます。

※参考1:ふるさと納税の概要丨総務省

※参考2:ふるさと納税の流れ丨総務省

住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能

結論からいうと、住宅ローン控除とふるさと納税は併用できます。2つの制度はどちらも税負担を軽減するために設けられた制度であり、併用すれば受けられる控除を拡大できます。

住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合、確定申告を行うケースとワンストップ特例制度を利用するケースの2つがあり、方法によって金額が異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

住宅ローン控除とふるさと納税の併用をシミュレーション

ここでは、住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合の控除額をシミュレーションで見ていきましょう。シミュレーションは、以下の条件を用います。

【条件】

● 年収:600万円

● 家族構成:夫婦(共働き)+子2人(大学生と高校生)

● 所得税:約20万円

● 住民税:約30万円

● 住宅ローン控除額:年間約30万円(全額控除)

● ふるさと納税上限額:5万7,000円(自己負担額2,000円含む)

※参考:税金の控除について丨総務省

以下2つのケースでそれぞれ控除額がいくらになるか見ていきましょう。

  • 確定申告を行うケース
  • ワンストップ特例制度を利用するケース

それぞれ解説します。

確定申告を行うケース

住宅ローン控除の初年度には確定申告が必要となり、ふるさと納税の控除も合わせて申請できます。確定申告を行うと、所得税と住民税の両方からの控除が可能です。

前述した条件の人がふるさと納税をして確定申告を行うと、最初に所得税20万円からふるさと納税控除額5万7,000円が引かれます。残りは14万3,000円となり、ここから住宅ローン控除額30万円を引くと15万7,000円が控除しきれない税額として残ります。

ただし、住民税から控除できる住宅ローン控除の上限額は最大でも13万6,500円です。2万500円が住民税から控除されず、その分住宅ローン控除が低くなります。

ワンストップ特例制度を利用するケース

住宅ローン控除2年目以降は、ワンストップ特例制度でふるさと納税の控除を受けられます。

ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくてもふるさと納税による控除申請ができる仕組みです。寄付する自治体が5団体以内である場合、ふるさと納税を実施する際に申請書を提出することで申告可能です。

この場合、所得税からは控除されず、ふるさと納税をした翌年の住民税のみ減額されます。

同じ条件の人がワンストップ特例制度を利用した場合、所得税20万円分が30万円の住宅ローン控除で差し引きされます。残り10万円分は住民税から控除され、上限額の13万6,500円以内となるため、住宅ローン控除の恩恵を最大限に受けられるでしょう。

※参考:ふるさと納税の流れ丨総務省

住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際の注意点

ここでは、住宅ローン控除とふるさと納税を併用するときの注意点を紹介します。

  • 1年目はワンストップ特例制度が利用できない
  • 確定申告では控除ロスが発生するケースがある

順番に見ていきましょう。

1年目はワンストップ特例制度が利用できない

住宅ローン控除の適用を受ける初年度には必ず確定申告を行う必要があり、ふるさと納税の控除申請ではワンストップ特例制度を利用できません​​。控除の初年度には、寄附金受領証明書を準備して確定申告で住宅ローン控除とふるさと納税を一緒に申告しましょう。

なお、ワンストップ特例制度はふるさと納税を利用する自治体が6団体以上の場合も利用できません。

確定申告では控除ロスが発生するケースがある

確定申告で住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合、控除ロスが発生するケースがあります。併用する場合には、先にふるさと納税の控除が所得税から適用され、その後に住宅ローン控除が適用されます。

しかし、住民税からの控除には上限があり、上限を超えた場合は余った控除額が切り捨てられてしまうため、結果的に税負担が軽減されない部分が発生するケースが考えられるでしょう。

控除ロスを防ぐためには、事前にシミュレーションを実施して控除額が上限を超えないように調整することが重要です​。

住宅ローン控除と併用できるその他の控除

ここでは、住宅ローン控除と併用できるふるさと納税以外の税控除制度を見ていきましょう。

  • 医療費控除
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)

順番に見ていきましょう。

医療費控除

医療費控除とは、自身や配偶者、親族のためにその年に支払った医療費が一定額を超えた場合に受けられる所得控除です。医療費控除の金額は、以下の計算式で算出されます。

医療費控除額=(1年間に支払った医療費)-(10万円もしくは所得総額の5%)

※医療費控除額は上限200万円

※10万円、もしくは所得総額の5%のうち、いずれか低いほうが差し引きされる

支払った翌年の確定申告で、確定申告書や源泉徴収票などと一緒に以下の書類を提出・保管してください。

  • 医療費または医薬品の領収書(提出の必要はないが5年の保管が必要)
  • 医療費控除に関する明細書
  • 健康保険の医療費のお知らせ

医療費控除は住宅ローン控除との併用が可能ですので、上手に活用して控除額を拡大しましょう。

※参考1:医療費控除丨東京不動産業健康保険組合

※参考2:医療費控除の明細書丨国税庁

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で拠出金を積み立てる年金制度です。制度を利用した場合、拠出金が全額所得控除の対象となり、毎月の掛け金がそのまま所得から差し引かれるため、所得税や住民税が減額されます​。

例えば、月額1万円をiDeCoに拠出している場合は年間で12万円が所得控除の対象となり、所得税と住民税が減額されて将来的には年金として受け取れます。

iDeCoは住宅ローン控除と同時に利用して税負担の大幅軽減に繋がるだけでなく、将来の年金対策としても有効な手段です。

ふるさと納税と控除制度の関係性

ふるさと納税と控除制度の関係を知る際には、住民税と所得税がどのように計算されているか把握しておきましょう。所得税や住民税の計算方法は以下の順に実施します。

  1. 年収-必要経費=所得
  2. 所得-所得控除=課税所得
  3. 課税所得×税率=納税額
  4. 納税額-税額控除=最終的な納税額

サラリーマンの場合、「1」の必要経費には給与所得控除が該当します。

「2」の所得控除にはふるさと納税で所得税から控除される額や医療費控除が当てはまり、所得控除を引いた額に税率をかけることになります。

注意点は、所得控除の額が大きくなり納税額が少ない人ほど、寄附の上限額が下がることです。

ふるさと納税を行う際に注意しなければ、本来住宅ローン控除などでできる税額控除が適用されないケースがあるでしょう。

住宅ローン控除は「4」の税額控除に該当し、ふるさと納税で住民税から控除される分も該当します。ふるさと納税を行う際には、他の控除も適用できる余地があるかシミュレーションしてから行いましょう。

住宅ローン控除とふるさと納税に関するよくある質問

ここでは、住宅ローン控除とふるさと納税に関してよくある質問を紹介します。

  • 住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際の必要書類は?
  • ローン控除とふるさと納税を併用して控除額を最大限活かす方法は?

上記2つの質問を順番に確認しましょう。

住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際の必要書類は?

住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際には、以下のような書類を用意しましょう。

<住宅ローン控除に必要な書類>

● 確定申告書(初年度に確定申告をする場合のみ)

● 住宅借入金等特別控除額の計算明細書

● 金融機関からの借入金残高証明書

● 登記事項証明書

● 源泉徴収票

<ふるさと納税に必要な書類>

● 寄附金受領証明書(住宅ローン控除初年度、または納税した自治体が6団体以上だったときのみ必要)

● ワンストップ特例申請書

ケースによって必要となる書類が異なるため、しっかり確認しておきましょう。

ローン控除とふるさと納税を併用して控除額を最大限活かす方法は?

住宅ローン控除とふるさと納税を併用して控除額を最大限に活かすには、事前にシミュレーションを実施して上限を超えないようにふるさと納税の寄付金を調整することが大切です。

ふるさと納税で受けられる控除には上限があり、家族構成や収入によって異なります。住宅ローン控除と併用する場合には、ふるさと納税の上限と住宅ローン控除の上限(最大13万6,500円)を把握したうえで、寄付金を調整しましょう。

また、先述のとおり確定申告では控除ロスが発生することもあるため、ワンストップ特例制度の利用がおすすめです。

住宅ローン控除とふるさと納税の併用で失敗しないためには

この記事では、住宅ローン控除とふるさと納税の併用について解説しました。

住宅ローン控除とふるさと納税は、どちらも税負担を軽減するための制度です。併用は可能ですが、本来控除されるはずの税額が控除できなくなってしまうケースもあります。

利用する際には、事前にシミュレーションを実施したうえで行いましょう。

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